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与論島でライドシェアの実験を始めるベンチャーの「すごい試みと志」

過疎地を救うかもしれない…?

8月から、普通免許と自家用車があれば可能なホンモノのライドシェアの実証実験が国内で初めて実施される。舞台は「癒しの島」として人気の観光地・与論島だ。

実験そのものは、小さなベンチャー企業による小規模なものだが、日本に上陸した世界最大手のウーバーがホンモノのライドシェア・サービスの展開を諦めてタクシー配車サービスに軸足を移そうとする中で、公共交通の維持が難しく、高齢者らの移動手段の確保が急務になっている山間・離島などのへき地にとって、一筋の光明になる可能性がありそうだ。

 

やっぱり普通のタクシーより安い

実験の舞台となる鹿児島県の与論島は、沖縄本島から約23キロメートルにある離島だ。面積は20.6キロ平方メートル、人口は約5250人。大潮の干潮時だけに現れる「幻の白い砂浜・百合ヶ浜」などが人気で、昨年は3年前より3割以上多い7万3204人の観光客が訪れたという。しかし、島には、バスが1路線、タクシーが8台しかなく、ピーク時の観光客の移動手段不足が悩みの種になっていた。

そこで、この島でライドシェアの実証実験をやろうという企業が現れた。2013年創業のAzit(アジット、本社:東京都、代表取締役:吉兼周優、資本金:1億2290万円)という日本の独立系ベンチャー企業である。

国土交通省の記者クラブに6月21日に投函されたプレスリリースによると、アジットはヨロン島観光協会との間で、予め与論島の住民10名程度をライドシェアのドライバーとして登録、移動ニーズを持つ観光客とマッチングするビジネスの実証実験を行うことで合意したという。観光客は、ライドシェア・アプリCREW(クルー)をダウンロードすれば、近くにいるクルマを呼べるようになる。

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ライドシェアの最大の売りである利用者コストの引き下げは、筆者が試算したところ、利用する観光客が支払う謝礼の金額次第とはいえ、一般のタクシーを利用するより低く抑える形で実現できそうだ。

例えば、島の交通の要所である「与論港の旅客待合所」から6.5キロメートルほど離れた前述の観光スポット百合ヶ浜に行く場合を考えてみよう。

既存のタクシーの運賃は、配車アプリ「全国タクシー」で調べると2620円だ。

これに対して、ライドシェアは1600円から2100円程度と見込まれる。その内訳は、①1回に付き保険料込みで40円のアプリの使用料、②ガソリン代の実費65円(国交省通達で排気量1.5Lの乗用車として算出)、③ドライバーへの任意の謝礼(1500円から2000円くらいか?)――という具合だ。

アジットとヨロン島観光協会は、実証実験がうまくいけば、9月から本格サービスに切り替える方針だ。