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地方を「助けるフリ」をする、地方創生とアベノミクスの根深い欺瞞

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地方創生は「仕事づくり」ではない

平成26年9月にスタートした政府の「地方創生」(まち・ひと・しごと創生)は、事業開始からもうすぐ丸4年を迎えんとしている。

だが、それが何を目指しているのか、国民の間でいまだに十分な理解がなされていないようだ。

「地方創生って、何を目的にしたものだと思いますか」と、大学での授業や各地の講演で聞いてみることがある。

すると返ってくる答えは、「地方の仕事づくり?」「ふるさと納税ですか」といったものが大半で、あとはせいぜい「地方移住とか……」といった具合だ。

「地方創生」は「地方のもの」であり、首都圏には関係ない――まずそういうふうに多くの人がとらえてしまっている。

さらには、困っている地方のために首都圏が手助けする、あるいは疲弊している農山漁村を都市住民が支えるのが地方創生だと、そういう認識さえ作られてしまったようだ。

事業の中身についてもとくに、「地方仕事づくり」の印象が強いようであり、「地方には仕事がないので、仕事をつくって経済力をつけさせよう」――地方創生はおおむねそういうものとしてイメージされている。

だが、間違ってはいけない。

地方創生が本来目指しているのは、"日本全体の人口減少"の克服である。

そして人口減少の要因は出生数および率の極端な低下にあるので、まずは1.4程度しかない出生率(期間合計特殊出生率)を1.8(国民希望出生率)まで引き上げるということだった。

そのことで人口減少がこのまま進んでも、2060年に1億人程度は確保する――これが地方創生の目標だったのである(「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」11頁など)。

さらに地方創生で克服すべき課題としてもう一つ、"東京一極集中の是正"があげられている。

 

東京一極集中と人口減少との関係はこうだ。

最も低い出生率にとどまる東京に、若い子育て世代が集まっている(図1参照)。これでは人口は維持できない。

過度な東京一極集中を是正していくことで、地方での子育てを実現し、希望出生率の実現を目指す。

そのために地方での仕事づくりや地方への移住を進めていこう。そういうことだったのである。

図1:都道府県別合計特殊出生率(『平成29年版 少子化社会対策白書』より)