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金融・投資・マーケット

「日本経済の希望の星」メルカリが抱える課題

IPOを成功させることはできたが

6月19日、東証マザーズ市場にフリマアプリなどを手掛ける“メルカリ”が上場した。同社には、今後、わが国を代表する企業に成長できる可能性がある。3000円の公募価格に対して初値が5000円だったことを見ても、同社株への需要は相当に強かった。“わが国唯一、最大のユニコーン企業(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)の新規株式公開(IPO)”という話題につられて購入を申し込んだ投資家が多かったようだ。

 

IPOでは、初値が公募価格を上回ることが多い。これはわが国だけでなく世界的な傾向だ。当たり前だが、IPOを行う企業の経営者は、できるだけ高い価格で株を発行したい。言い換えれば、IPO直後の株価は、企業本来の実力とは異なる要素に影響されて割高になっている可能性がある。それを念頭に、メルカリの経営を考える必要がある。

IPOを急いだメルカリ

昨年の早い時期から、国内の株式市場参加者の間では、メルカリ上場への関心が高まってきた。メルカリは米国と英国での事業拡大のために、まとまった資金を調達する必要があったからだ。足許、メルカリの最終損益は赤字だ。自己資本を増強し財務内容を安定させるためにも、新規に株式を公開する必要性は高まってきた。

当たり前だが、株式の発行によって資金を調達するためには、株式市場全体が安定していたほうが良い。昨年は、米国を中心にゴルディロックス経済(適温経済)が続くとの期待から、投資家はリスクを取りやすかった。メルカリにとっては、IPOを行う絶好のチャンスだった。

メルカリが東証一部への上場を目指すとの観測が出るなど、できるときに、できるだけ多くの資金を調達したいという同社の考えは強かったように思う。

山田進太郎メルカリ代表取締役会長兼CEO

上場後、初値が公開価格を上回るか否かは、企業の印象を左右する。株価が公開価格を上回ることなく推移すると、投資家はその企業の先行きを心配するだろう。そうなると、株主の理解を取り付け、成長のための戦略を実行することは容易ではなくなる。

それを避けるためにも、株式市場全体が安定し、その企業の成長性が高いうちにIPOを行うに越したことはない。

しかし、2017年中のIPOは実現しなかった。原因は、メルカリの法令遵守(コンプライアンス)体制が問題視されたからだ。その後、2018年2月以降は、世界的に株価が下落した。これが、経営陣に不安を与え、上場を急がせた可能性がある。5月末には、トラブルが相次いだメルカリアッテの終了が発表された。それは、波乱なく上場を果たすための体裁の取り繕いに見えた。