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国際・外交

習近平がほくそ笑む対米切り札「北朝鮮カード」の使い道

非核化も貿易戦争の「駒」に使う恐れ

金委員長と分かれ、側近たちは「あの国」へ

「朝貢外交」とまでは言わないが、やはり北朝鮮の金正恩労働党委員長は6月19日午前10時頃、空路、旧ソ連製イリューシン62型を改良した専用機(チャムメ1号)で中国の北京国際空港を訪れた。

その兆候はあった。シンガポールで開催された6月12日の米朝首脳会談後、金委員長一行は同日夜、中国国際航空(Air China)のチャーター便でピョンヤンに向けて発った。

ところが、シンガポール入りに同行した金氏の妹・金与正党宣伝扇動部第1副部長、李容浩外相、金聖恵党統一戦線部策略室長の3人は別行動を取ったのである。チャーター別便で北京に立ち寄ったのだ。

[写真]シンガポール入りの際、中国国際航空機から降り立った金正恩委員長(Photo by GettyImages)シンガポール入りの際、中国国際航空機から降り立った金正恩委員長(Photo by GettyImages)

金委員長とドナルド・トランプ大統領のトップ会談の中身をいち早く中国側に報告するためだった。金与正氏らが中国共産党指導部の誰に事の次第を報告したのか、については現時点で確認できない。

だが、共産、労働両党の序列からして、少なくとも王毅国務委員兼外相と宋濤党中央対外連絡部長の2人は対応したはずである。

 

こうした助走を経て真打の登場であった。それは、金正恩氏に同行した北朝鮮側のラインナップからも見て取れる。

金氏シンガポール滞在中の留守役責任者だったナンバー2の崔竜海党副委員長(政治局常務委員=組織指導部長)、朴奉珠首相(同常務委員)、シンガポールに同行した金英哲党副委員長(同常務委員=統一戦線部長)、李洙ヨン(※漢字は土偏に「庸」)党副委員長(同常務委員)、そして李雪主夫人。

一方の中国側は、ホストの習近平国家主席(共産党総書記)以下、王滬寧党政治局常務委員、楊潔チ(※漢字は竹冠に雁垂れに「虎」)政治局員、王毅外相、そして王岐山国家副主席(党外事工作委員会副主任)ら。これまた党・政府のオールスターキャストである。