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アパレルの「AI実用化」はここまできた~ヒット商品も先読み可能に

利益率が10%改善した例もあります
アパレル業界に、人間よりも正確に「売れ筋商品」を予想するAIが登場している。生産プロセスを効率化するAIも実用段階に入った。こうした新たな技術の組み合わせが、現在の業界地図を大きく塗り替えることは間違いない。いったいどんな変化が起きるのか。

AIで利益率が10%上がる

昨年、『誰がアパレルを殺すのか』という本が出版されアパレル業界ではちょっとしたブームになりました。実際に多くのアパレル企業が苦労をしていることは事実です。2016年の帝国データバンクの発表によると、国内のアパレル企業の半数は売り上げが前年の数字を割っていて、20%は赤字であるという衝撃的な調査結果が出ています。

20年近くアパレル企業の改革をやってきて分かるのは、こうした業績低迷に苦しんでいるアパレル企業がとくに頭を悩ませているのは、「需要予測」だということ。つまり経営者たちは売れるものが分からず、正確にトレンドを予測できるソリューションをノドから手が出るほど欲しがっているのです。

 

そんななか、こうしたアパレルの「需要予測」という課題解決に、最新のAI (人工知能)を使ったベンチャー企業が続々と参入しています。最近では、人工知能の権威であるディープラーニング協会に認定される技術を持った「ファッション・ポケット」という企業までアパレルビジネスに参入してきました。

彼らはどんな技術を駆使しているのでしょうか。現段階ですでに実用化されているのがAIを用いた「時系列分析」。実用間近に来ている有力な技術としては、「画像認識分析」があります。

時系列分析は、株式投資の世界の「テクニカル投資」との類比で考えると分かりやすい。テクニカル投資は、過去から今に至るまでの株価の動きから「統計的」に法則性を見いだし将来の動きを予想、様々な売り買いを行う手法です。理屈は抜きに、過去から現在にいたる「株価の動き」から法則性を見つけ出し投資を行います。

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それと同じように、アパレルの過去の売り上げデータをAIで分析し、理屈抜きで、「次の期間に何が売れるか」という需要予測するのですが、その効果は凄まじいものがあります。

この方法をアパレルの需要予想に用い、それが示す通りに販売をしたところ、驚くべきことに、あるアパレル企業では実際に、的中率 (仕入れた在庫で売れた商品の割合)が5ポイント、利益率で10ポイントも改善しているのです。