磯山友幸「経済ニュースの裏側」
2018年06月25日(月) 磯山 友幸

福島第2原発も廃炉に…ニッポンにはいま、「廃炉庁」が必要だ

国が責任を負う以外、道はない

どうやって必要な人材を確保するか

ここに廃炉を電力会社任せにした場合の矛盾点がある。廃炉費用がかさめば業績の悪化は避けられず、そのしわ寄せは社員の待遇などに向かう。そうなると優秀な人材を集めることが難しくなるのだ。

そうでなくても「廃炉」という後ろ向きの業務に従事する場合、社員のモチベーションを維持できるかという問題がある。

2015年に会計不正が発覚した東芝の場合、粉飾決算の修正に伴う巨額の赤字だけでなく、米国の原子力子会社ウエスチングハウスの巨額損失で、東芝本体は事実上解体されている。

国内原子力事業はまだ東芝に残っているが、福島第1原発の廃炉などに携わってきた多くの技術者が会社を去り、転職していった。

 

「廃炉」を任せる優秀な人材を確保するには、技術者に将来に対する不安を抱かない「安定」が不可欠だ。

国が廃炉の方針を明確にし、国(廃炉庁)主導で廃炉を進めていく事になれば、民間企業にとっては長期にわたる作業の受注機会が生まれる。リスクを負わずに仕事があり続けるという状態になるのだ。

廃炉には通常でも長期の時間がかかる。

1998年3月に稼働を終えた東海発電所は解体作業がまだ続いており、完全な解体撤去までには23年を要し、2021年ごろになるとされている。2009年に廃炉になった中部電力の浜岡原発1、2号機の解体終了は2036年度になるとされている。

さらに、事故を起こした福島第1原発の廃炉にはさらに長期にわたる時間がかかるとみられている。

そんな中で、廃炉の決定が相次いでいる。

原発の稼働は原則として40年までと決まっている。60年まで延長する特例もあるが、稼働から40年を経た老朽原発が次々と廃炉決定されているのだ。

2015年には関西電力美浜原発1、2号機、同敦賀原発1号機、中国電力島根原発1号機、九州電力玄海原発1号機の廃炉が決まった。また2016年には四国電力伊方原発1号機が、2018年5月には2号機も廃炉が決まった。

これに福島の10基を加えると、全国で20基の廃炉が進んでいることになる。まさに日本は「廃炉大国」なのだ。

今後もさらに廃炉になる原子炉は増えていく。そんな中で人材を確保していくには、もはや国が廃炉に最終責任を負う体制が不可欠だ。もう一度「廃炉庁」を検討してみるべき時だろう。

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