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週刊現代 地名 歴史

秋葉原のよみ方「あきはばら」「あきばはら」どっちが正解?

意外な東京地名のルーツ

火事がきっかけで

世界有数の電気街、サブカルチャー街として発展を遂げている地「秋葉原」。大通りに観光バスが停まり、大勢の外国人ツアー客でごったがえす光景も今や見慣れたものだ。

そんな秋葉原の略称といえばもちろん「アキバ」。

'05年に映画化、テレビドラマ化されて話題となった作品『電車男』の影響で、秋葉原を拠点とする、いわゆる“おたく”な人たちを「アキバ系」と呼んだことから、一般人にも馴染み深い読み方になっている。

ところが、だ。秋葉原の読み方は「あきばはら」ではなく、「あきはばら」なのだ。

「秋葉さん」という苗字や、全国にある「秋葉」と付く地名のほとんどが「あきば」と読むのに、なぜ東京の秋葉原は「あきは」で、濁らないのだろうか。

話は江戸時代まで溯る。

 

現在の秋葉原のあたりは、下級武士の居住地域であった。有名な「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉にある通り、この界隈も江戸時代を通じてたびたび、火災に悩まされていたという。

それは明治維新直後も続き、明治2年に神田相生町から出火した火災が、この一帯を焼き尽くし、罹災戸数は1000軒余に及んだ。

これを深刻に受け止めた明治天皇の命により、東京府はこの地に約1万坪の延焼防止の火除地を設置。さらにその中心地に火防の神・秋葉大権現を祀った「秋葉神社」(現在は台東区松が谷に移転)を建てた。

この神社の読み方は“あきばじんじゃ”。それに合わせて同地も、「秋葉(神社)のある原っぱ」、すなわち「秋葉原(あきばはら、あきばっはら)」と呼ばれたという。つまり、濁るほうが由緒正しい読み方なのだ。

では、いつから現在のような読み方が定着したのか。それは明治23年、同地に新しく貨物用の駅として「秋葉原駅」が開設された時だという。

理由は定かではないが、この駅の読み方が「あきはばら」と決まり、それが街の内外まで広まったとされている。だから、もし、上京したての人が秋葉原を「あきばはら」と読んでも、笑ってはいけない。かつてはそう呼ばれていたのだから。(栗)

『週刊現代』2018年6月30日号より