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オリンピック 地震・原発・災害 週刊現代

もしも東京五輪の真っ最中に、M7巨大地震が起きたら…

考えたくないことだが、万一のために。

国民が開催を待ち望む2020年の東京五輪。今、この平和の祭典に「M7巨大地震」の危機が迫っている。そのカギとなるという、千葉県東方沖で観測された「スロースリップ」とは一体――。

阿鼻叫喚の五輪会場

「Noooo!!!!」

2020年8月8日、東京。待望の東京五輪で、レスリング競技が最高の盛り上がりを見せる最中、「それ」は起きた。

約1万人を収容した巨大な競技会場、幕張メッセが、大きく横に震え始めたのだ。興奮と歓声で包まれていた会場が、その異常事態を察知し、一瞬、シンと静まり返る。だが、次に会場を埋め尽くしたのは、恐怖から来る、人間の本能的な絶叫だった。

怯え、戸惑い、その場から逃げ出そうとする人々。だが、地震を日常的に経験している日本人とは違い、海外からやってきた観客たちには、いったい今、何が起こっているのか全く理解できない。

「Help me!!」

人生で経験したことのない、尋常ならざる恐怖。何をすればよいか、どこへ向かえばいいのか。

正常な判断力を失い、辺りをがむしゃらに駆け回る彼らの悲鳴が、倒壊を始めた会場内に轟き続ける。すぐ傍まで、巨大な津波が迫っていることにさえ気づかずに――。

 

千葉県東方沖で、プレートの境界がずれ動く「スロースリップ」と呼ばれる現象が6月3日から観測されている。地震調査委員会による11日の発表は、防災専門家に衝撃を与えた。

発表によれば、房総半島では今月に入り、地盤が南東方向に約1cmずれ動く変化が捉えられた。

このプレートの移動そのものによって発生した地震は、地震計では計測できないほどの小さなものだ。

だが、このごく小さな動きによって、近年中に、千葉県沖を震源とする「M(マグニチュード)7クラスの巨大地震が引き起こされる可能性がある」というのだ。

そもそも、この「スロースリップ」とはどういう現象なのか。立命館大学歴史都市防災研究所の高橋学教授が解説する。

「通常の大きな地震は、プレートが1秒間に数十cmから数mほどの速さで動き、その結果として地表が揺れる、というメカニズムで発生するもの。

それに対し、スロースリップは10日間から1ヵ月間もの長い時間をかけ、ほんの1cm程度ずれるようなプレートの動きに伴って発生する、ごく小さな地震のことを指します。

その揺れ方は極めて微小であり、GPSを用いて人工衛星から観測するなど、機器が発達したここ数年になって、ようやくその存在が確認されました。

非常にゆっくりとした動きであるため、通常の地震計では認識されず、現在は専門の機器を所持する、少数の限られた機関にしか観測ができていません」