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不正・事件・犯罪 週刊現代

総武線「鉄柱しがみつき男」は慶應卒の元エリート銀行員だった

なぜ、こんな姿であんな場所に…

立派な経歴を持った、いい年をした大人が醜態を晒して逮捕された。しかも、その男には過去にも破廉恥な前歴があった。その転落ぶりは目を覆いたくなるほど。多額の損害賠償も自業自得だろう――。

「パンツ姿」で逃走

「意識ない!意識ない!」

6月2日午後11時40分を回った頃、千葉県千葉市花見川区のJR総武線幕張本郷駅。駅舎を支える鉄柱から、腰にベルトを掛けてぶら下がった消防のレスキュー隊員が、階下の線路で待機している警察官に向かって必死に叫んでいた。

隊員の前には、鉄柱につかまりながら、ぐったりとしている中年男性の姿があった。

「その中年男は、青いシャツを着ていましたが、なぜか下半身はズボンと靴を身につけておらず、素足にパンツという異様な姿でした。身長は175cm程度、でっぷり出ている腹から想像するに体重120kgはあるんじゃないかな。典型的な中年体型ですね」(目撃者)

それから約5分後、その中年男性を抱えながらレスキュー隊員が鉄柱をつたって降りてきた。建造物侵入容疑で現行犯逮捕されたのは家田慎也容疑者(51歳)。痴漢の疑いもかけられていた。

 

家田がしがみついていた鉄柱の高さは約5m。すぐ近くの架線には高圧電流が流れる危険な場所だ。彼はなぜ「パンツ姿」でこんな場所にいたのだろうか――。

「女性客が痴漢の被害にあったと訴えている」と駅員から同県警千葉西署に通報が入ったのは、その日の午後9時10分のことだった。

数名の警察官が急いで駅に駆けつけると、駅員によって駅舎の2階にある事務室で待機させられていたはずの被疑者の姿が見えない。

どうやら、駅員が席を外した一瞬のスキをついて逃亡を図ったようだ。おそらく事務室の窓から外に出たのだろう。

家田は線路に逃げるべく、ホーム上にある駅舎から飛び降りようとした。しかし、高さにおののいたのか実行できなかった。結局、駅舎を支える鉄柱に隠れることにしたらしい。

駅員と警察官たちが慌てて辺りを探し、鉄柱にしがみつく家田を発見したのだ。

「被疑者が隠れていた鉄柱は送電設備の一部。危険であることは明らかでした。一歩間違えたら感電死してしまうので、すかさず送電を止めました」(捜査関係者)

送電がストップし、駅構内は闇に包まれた。騒然とする利用客を横目に、レスキュー隊員による必死の作業が始まり、冒頭の場面に戻る。

「駅舎の事務室にいた時点ではズボンも靴も身につけていました。逮捕したときは足を怪我していたので、逃げる途中で何かに引っ掛かり、破けて脱げたんでしょう。

痴漢については、状況的に本人でしょうが、現時点では同一人物と特定していません。今後、その件も取り調べていきます」(前出の捜査関係者)