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放漫財政とポピュリズム…経済危機が「ラテン諸国」から始まる理由

「政治リスク」の本質は国民だ

アルゼンチンの金融危機に続き、イタリアでも国債下落が起きている。13日の米国FOMCの利上げ決定が、この動きを加速しようとしている。10年に1回の世界金融危機のサイクルにあることは間違いない。

前回の危機への対応として世界中で行われた「超」金融緩和が、緊縮に向かい、資金の逆流が債務国に襲いかかっている。そして、過去数次の経験から制度や対応策が世界的に浸透しているにもかかわらず、なおも危機に飲み込まれる国々が存在する。

そこで露わになっているのが、経済政策の問題と言うよりは、その国家や社会が慢性的に抱える「政治リスク」。FOMCの対応も、事態が一般の金融政策の範囲の外と見ていることを暗示している。その意味で、今起きようとしているのはまさに「ラテン危機」なのである。

 

危機は別な場所で起きている

10年ひと昔、とは良く言ったものである。

金融危機はだいたい10年に1度ぐらいの周期で発生する。1987年に「ブラックマンデー」、1997年「アジア通貨危機」、2008年「リーマンショック」が発生した。

そして、そろそろ10年周期の次の国際金融危機の気配が漂ってきている。 ただ、だからといって、同じ間違いを繰り返しているわけではない。

当局サイドは、金融危機のたびに学習し、その対応策を打ち出してきている。

「ブラックマンデー」の時は、それまで、米・日・西独で協調利下げをしていたが、西ドイツが、インフレ率が高騰したのでいきなり利上げしたことが引き金となった。当然、ニューヨークを始めとして世界中から資金が集まり、ニューヨーク株は暴落した。その反省から「先進国」では「政策金利」の協調をするようになった。

「アジア通貨危機」の時は、米国が金利を上げたため、短期資金が米国に逆流しアジアの通貨が暴落した。

これに対しては、期間と通貨のダブルミスマッチが意識され、ASEAN+3で資金融通の仕組みができた。アジア諸国自身も、外貨準備を当時の5倍にした。なによりも米国連邦準備制度理事会(FRB)が新興国の経済状態も視野に入れるようになった。

リーマンショックの時は、米国の住宅不動産バブル崩壊が原因だったが、その影響が、デリバティブを通じ、中央銀行の枠を超えて世界の金融機関に広がっていった。

その結果、世界の銀行を監督している国際決済銀行(BIS)は、グローバルなシステムに影響を及ぼす可能性がある銀行(G-SIV)に対しては、より強い規制を加えることになった。

それでは、今回の金融危機はどのような性格、メカニズムのものなのだろうか。

現在、国際金融市場の大きな流れは、米国をはじめとした先進国の金融緩和(QE)から金融引き締め(QT)への転換にある。つまり、緩和によって先進国から流出していた資金が逆流(新興国側から見れば資本が流出)するのである。

この形はアジア通貨危機と形が似ている。ただ、アジア通貨危機の場合と違いがある。当時はアジア諸国の通貨は、固定相場制をとっていた。現在、アジア各国は、変動相場制に移行しただけでなく、先に述べたように対応策をとっており、今は問題が発生する確率は低い。

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