国際・外交 世界経済 日本 中国 アメリカ 韓国 北朝鮮

金正恩氏をどう「利用する」のか…トランプの狙いが見えてきた

やっぱり眼中にあるのは、あの国だった
安達 誠司 プロフィール

すべては対中国政策の一環か

実際、トランプ政権下では防衛費が着実に増加している。2018年第1四半期のGDP統計における防衛支出は前年比+3.6%であった。

この「3.6%」という数字はたいして大きくないようにみえるが、2011年以降、アメリカの防衛支出は6年連続で前年割れとなっており、防衛費は財政再建の一環として削減対象とされてきた。この結果、米国の軍事力(少なくとも「世界の警察官」としての能力)は(絶対的な優位は揺るがないが)相対的には後退してきていたのであろう。

それがトランプ政権になってようやく前年比でプラス(2017年全体で前年比+0.2%)となり、現在も拡大が続いている。

 

統計上もかなり拡大しているが実際は統計上の数字以上に伸びているといわれている中国の軍事費と比較すると、米国は、近い将来、世界の覇権を中国と二分せざるを得ないとの見方が有力になりつつあったのも事実であろう。

現に、民主党に近い安全保障の専門家の中には、かつてイギリスがそうしたように、アメリカもそろそろ覇権の一部を中国とシェアする時代になったという、一種「諦観」にも似た見方もあるようだ。

だが、トランプ政権は民主党から政権を奪うことで、その流れに抗う姿勢を明確にしている。

〔PHOTO〕gettyimages

一方、貿易政策面では、「安全保障上問題のある」輸出品目について、関税率を大幅に引き上げる措置を相次いで発表している。これに対し、主にEU諸国を中心に「保護貿易的な措置である」と強い批判が浴びせかけられている。

だが、これは、中国が、米国が開発してきたハイテク技術に「ただ乗り」することで、今後も経済成長に大きく寄与すると思われるテクノロジーのノウハウを獲得することを阻止しようとする試みであると考えられる。

欧州諸国に加え、強固な「同盟国」であるはずの日本までもが高関税の適用対象となり、安倍政権に批判的なメディアの中には、安倍首相とトランプ大統領の蜜月関係を疑うような論陣を張っているところもあるが、欧州や日本を経由して、ハイテク技術が中国に漏出してしまっては元も子もないので、この措置はアメリカからすればある意味当然であろう。

以上、安全保障、国際経済両面で「中国の覇権国化」を阻止する姿勢を明確にしているトランプ政権にとっては、対北朝鮮政策も、対中国政策の一環ではないのだろうか。

新メディア「現代新書」OPEN!