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発覚!AIの「うっかりミス」が核戦争を誘発する可能性

AIの軍事応用は誰のためになるのか

米国防総省(ペンタゴン)が「AI(人工知能)による核ミサイル防衛システム」の研究開発を加速している。

https://jp.reuters.com/article/usa-pentagon-missiles-ai-idJPKCN1J31EX

上記記事によれば、偵察衛星が撮影した地上映像などをAIが解析することで、人間の能力を上回る精度とスピードで敵の核ミサイル発射を予測。この情報に基づいて、核ミサイルの発射前にそれを破壊したり、発射後でも早期に迎撃することを目指しているという。

しかし、このAIが衛星画像などを間違って認識し、「フォルス・アラーム(誤警報)」を発した場合、「核戦争の脅威をむしろ高める」との懸念も生じている。

 

新たな軍拡競争の始まりか

ペンタゴンが来年度、このミサイル防衛システムに割く予算は、前年度の3倍となる8300万ドル(約91億円)。年間で7000億ドル近く(約74兆円)にも達する米国防予算全体のごく一部に過ぎないが、これと同様AIを活用したミサイル防衛システムの開発プロジェクトは他にも多数存在するという。

ペンタゴンが、これら防衛システムの対象として想定しているのは、通称「4プラス1」と呼ばれる「ロシア、中国、イラン、北朝鮮、そして(ISなど)テロ組織」。が、逆にこれらの国々でも米国と同様のAI防衛システム、あるいは防衛用AIを騙すシステムなどを開発している公算が高く、早くも新たな軍拡競争の様相を呈している。

すでに米国では、そうしたAI防衛システムのプロトタイプ(試作版)による実証実験が開始されたという。これは偵察衛星や高性能レーダーなどから得たデータをAIで解析し、トンネルや洞窟、森林などに隠された移動式のミサイル発射台を追尾。その異常な動きなどからミサイル発射を予測する。

画像はイメージです〔PHOTO〕gettyimages

冒頭のロイター記事には書かれていないが、この種のミサイル防衛システムに搭載されているAIは、いわゆる「ディープラーニング」あるいは「ディープ・ニューラルネット」とよばれる最先端の人工知能と見て間違いない。

ディープラーニングのようなニューラルネットは、伝統的に画像・音声などの「パターン認識」を最も得意とする。というよりも、基本的にパターン認識しかできない(ディープラーニングは近年、人間の言葉を理解する「自然言語処理」などにも応用されているが、それは言葉の意味を本当に理解しているわけではなく、パターン認識を巧みに言語処理へと適用することで、いかにも言葉を理解していると見せかけているに過ぎない)。

が、たとえ単なるパターン認識とはいえ、それは私たち人間を凌ぐ高い精度とスピードで、衛星画像などに撮影された移動式の核ミサイル発射台や、その異常な動きなどを識別できる。これが冒頭の核ミサイル防衛システムに、ディープラーニングが利用される最大の理由となっている。

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