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証券界が震撼した「仮想通貨集団の上場企業買収」仰天の内幕

資本市場の根源的問題が問われている
伊藤 博敏 プロフィール

仮想通貨の信用にかかわる

ビート・ホールディングスの旧社名は新華ファイナンス。ネットバブルの崩壊で東証マザーズが株価低迷と欧米企業の撤退に悩んでいた時、中国の急成長に目を付けた当時の東証理事長が、中国国営通信・新華社と資本提携。新華ブランドを社名につけることを許された新華ファイナンスを誘致し、04年10月、「中国系第1号」として上場させた。

だが、内実はお寒い限り。香港を拠点に中国の金融情報を配信するのが目的だったが、創業メンバーの米国人経営者らが、11年、詐欺行為などの容疑で起訴され米国で有罪判決を受けた。経営権は中国人経営者に移り、現在に至るが、2期前が8.8億円の売り上げで3.3億円の経常欠損、前期が11.5億円の売り上げで2.8億円の経常欠損と芳しくない。

業績不振で投資家にも金融機関にも相手にされない企業は、時価総額が低く、仕手筋や裏上場を狙う勢力に目を付けられやすいという意味で、「ハコ企業」と呼ばれる。ビート・ホールディングスは、まさにそんな状態で東証2部に浮遊しているところを、怪しい仮想通貨集団に狙われた。

証券・金融市場は、ITの長足の進歩とグローバル化によって、オープンでクリーンな環境を高めているが、粉飾決算や不誠実なIR(投資家向け広報)といった問題は絶えず、「人の寝首をかこうとする人間がたむろする鉄火場」であるという本質は変わらない。

今、資本市場の中で、そんな連中が群がっているのが、仮想通貨やICOという真価が誰にも確認できない世界である。今回、ノアコイングループとビート・ホールディングスが結びつくのは、資本市場が抱える根源的な問題を呈示するとともに、先端的な実験でもあり注目に値する。

規制を嫌い、日本での登録を避け、海外で上場した仮想通貨が、日本の投資家を相手に、日本の企業に資本を注入する役割の証券市場に生息することが許されるのか。

「ハコ企業」を買収、思いつきのような夢を語り、いい加減なアナウンスを繰り返し、株価を高騰させて売り抜けるのは、「資本のハイエナ」と呼ばれる仕手集団の常套手段だった。ノアコイングループは、そんな連中とは一線を画し、フィリピンの貧困を救うという使命を果たすのか。

仮想通貨全体の信用にかかわるプロジェクトが進行している。

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