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証券界が震撼した「仮想通貨集団の上場企業買収」仰天の内幕

資本市場の根源的問題が問われている
伊藤 博敏 プロフィール

取締役を送り込む

ずいぶんな書かれようである。完膚なきまで「ダメ出し」を食らった。

しかし、ノア・ファウンデーションなどノアコイングループは諦めない。「アナウンスが過剰で、誤解をさせる表現があった」と、認めたうえで返金に応じるなどして低姿勢を貫き、逆に挑戦するように18年6月12日のフィリピン建国記念日という上場予定を3ヵ月前倒しして、香港のHitBITなどに上場した。

 

そのうえで、ビート・ホールディングスの新株予約券をグループのノア・アーク・テクノロジーでCEOを務めるレイエス氏などが取得した。すべて行使すれば、発行済み株式の15・8%を保有する大株主となる。そして、6月8日、ビート・ホールディングスに対して行ったのが、以下の提案である。

まず、社名変更について。ビート・ホールディングス・リミテッドを、ノアコイン・グルーバル・リミテッドにすること。

次に、すべて行使して300万株の持ち分をさらに増やして1000万株にするために、私募によって700万株を割り当てること。発行総額は7万7000ビットコイン以内(約646億円)で、1株当たり9224円以内と、相当な意欲を見せている。

こうして支配権を手に入れ、最大4名の取締役を送り込むという。

ICOで約1100億円を調達

そのうえでノアコイングループが行なう提案が大胆だ。技術的な提案は省くとして、まず取り組むのが仮想通貨取引所の世界展開である。

日本、北米、シンガポール、香港、インドネシア及び中華人民共和国などのアジア諸国、並びにロシア及びウクライナを含む欧州諸国における、仮想通貨取引所の開設または買収を仕掛けるのだという。

次にICO(イニシャル・コイン・オファリング)を通じた資金調達。シンガポール、香港またはその他の地域の完全子会社化によって、ICOが適法な地域で約10億米ドル(約1100億円)を調達するのだという。

ノアコイングループは、6月6日の時点で、ノアコインの1単位の価格が0.01051219米ドル、日本円で1.115718203円であるとし、総発行量が915億8400万円であることを明かした。時価総額は約1000億円である。

流通量も豊富で、1日当たりの取引量で世界第5位に位置づけられると豪語する。ビート・ホールディングを支配下に置くことで、その総力を結集、世界に取引所を開設して仮想通貨業界を席巻するという宣言である。

仮想通貨に詳しい金融関係者が、ノアコイングループの狙いを明かす。

「ビート社は時価総額が小さく(目を付けた4月末の時点で約30億円。今は4倍に高騰して約120億円)、狙うのに手頃だっただけでなく、親会社がケイマンで規制がなく、しかも香港、シンガポール、マレーシアなどに拠点があって、ICOを手掛けやすい。

さらに業績は芳しくなく、恒常的な赤字体質。ビート社の経営陣を意のままに操れると踏んだ」

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