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企業・経営

TBSが英国の「モノ言う株主」に突きつけられた、痛すぎる提案

背景には複雑な事情が‥‥

今年も盛り上がる「物言う株主vs.企業」

3月期決算企業の株主総会が佳境を迎える。

東京証券取引所の集計によると、今年の総会集中日は6月28日木曜日。東証1部上場の413社のほか、2部やマザーズ、JASDAQを合わせて725社が総会を予定する。全上場企業の31.0%だ。

次いで前日27日の437社(19%)、26日の361社(15%)、前週の金曜日である22日の359社(15%)と続く。

東証などは総会開催日が集中すると株主が複数の総会に行くことができなくなるとして、分散するよう企業に要請している。2017年6月総会は最も集中した最終木曜日が29.6%だったので、今年は昨年に比べて集中度がわずかながらも高まった。

経営者は「株主との対話は重要」と口では言いながらも、集中日に合わせて総会を開催することで、株主から厳しい意見をぶつけられる場となることを避けようとしているようにも見える。

そんな中で、特に注目されているのが総会に大株主が「議案」を提出する株主提案権の行使。

基準日の6カ月以上前から議決権の100分の1または300個以上の議決権を有する株主が、8週間前までに会社に通告した場合、会社は総会の招集通知に株主提案として記載、議題にしなければならない。その「株主提案」が今年も過去最高を更新しそうなのだ。

昨年2017年6月総会の株主提案は40社に出され、合計212議案が審議された。2016年は37社167件、2015年29社161件だったので、着実に増加している。

しかも昨年は、電子部品商社の黒田電気の総会に、旧村上ファンド元代表の村上世彰氏が関与する投資会社レノが社外取締役を選任する株主提案を提起。それが賛成多数で可決される異例の事態が起きた。

株主提案に対して経営者は「会社側としては反対」などとする意見を付すことができるが、最近では大手機関投資家が株主にとって利益になる提案に賛成票を投じるようになっている。このため、経営者は株主提案の行方に神経をとがらせている。

 

TBSが振り回される「ある事情」

今年の総会で注目されている株主提案のひとつがTBSホールディングス(HD)に海外の大株主が突き付けた提案。TBSHDが保有する東京エレクトロンの株式を、TBSHDの株主に分配せよ、という内容だ。

海外株主は英国のアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)というファンドで、アクティビスト(モノ言う株主)型の投資を行っているとされる。アクティビストというのは、企業に経営改革や増配などを迫り、株価を上げて投資回収する投資家を言う。今年3月末時点で2%弱のTBSHD株を保有しているとみられる。

TBSHDが持つ東京エレクトロン株は770万株。発行済み株式の4.7%を持ち、事実上の筆頭株主だ。TBSHDが長年にわたって長期保有してきた政策投資株である。長期的な安定株主として株を持つ、いわゆる「持ち合い株」である。

AVIは、この770万株のうち4割に当たる306万4414株を株主に現物配当せよ、と要求しているのだ。

TBSHDの大株主には三井物産や三井住友銀行、三井不動産など大企業が名を連ねており、大株主とはいえ2%しか株を持たない海外投資家の提案が通る可能性は従来ではゼロだった。だが、今年は、そう簡単に結論を下すことができない「ある事情」があるのだ。

ある事情というのは、東京証券取引所が6月1日から施行した、「改定・コーポレートガバナンス・コード」。金融庁と東証が事務局をつとめる「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」がコードの改訂を今春とりまとめ、これを受けて東証が上場規則を変更した。

その「改訂・コーポレートガバナンス・コード」が金融機関や企業間での「株式持ち合い」に関する原則を大幅に見直したのである。

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