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社会保障・雇用・労働 週刊現代

「団塊ジュニア」世代、ある女性労働者の悲劇

私は人ではありませんか?

絶望を通り越して『どうでもいい』

団塊ジュニア世代は「失われた世代」とも呼ばれる。人数が多いので高校入試、大学入試の競争は厳しかった。

しかも、卒業後は就職氷河期で、非正規労働に就く人々が多かった。特に不利益を被ったのが女性たちだ。

その人たちは、現在、40歳前後のアラフォーに達している。『非正規・単身・アラフォー女性』は現時点で、非正規労働についている人々の現状を、同世代の作家である雨宮処凛氏が、丹念な取材によってまとめた優れた作品だ。

編集プロダクションや出版社での派遣労働の経験が多い昌美さん(36歳、独身、短大卒)の事例が興味深い。

 

〈派遣って、会社の会計上、人件費でなく物件費っていう項目なんですよね? それ知ったら、もはや人間ではないというか、働く気しないよねって、最近、派遣で働いてる友だちと話しました。

そういう扱いをしておいて、社員以上の仕事を押し付ける。人として見られてない感、すごく下に見られてる感はあります。

今の会社もそうですね。今は契約社員ですけど、『社員になりたいんでしょ』とか『社員になりたいんだったら頑張ってるとこ見せなきゃ』とかすごい言われる。

もちろん、雇用形態ばっかり責めても仕方ないんですけど、周りの友だちも派遣とかが多くて、みんな疲れ果てて、『働きたくない』って言い始めてる。やる気がなくなっちゃってる。

絶望を通り越して『どうでもいい』ってなってるのをなんとかしないと厳しいですよね〉

と昌美さんは述べているが、ここに派遣労働者の心情が端的に示されていると思う。

同じ職場で働いていても、人格を尊重されず物のように扱われていることに対する怒りと悲しみが、派遣労働者のモチベーションを下げている。

昌美さんの場合、2年前から心療内科で感情を鈍麻させる漢方薬を処方され、それを服用しながら仕事を続けている。

ちなみに筆者が知るこの世代の編集者で、男女、正規非正規を問わず、心療内科や精神科に通い、睡眠導入剤や抗不安剤を日常的に服用している人が10人以上いる。