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ZOZO社員の炎上が教える、一億総副業時代の「意外な落とし穴」

SNSが巨大リスクに…?
加谷 珪一 プロフィール

副業が年収を決める時代へ

さらに踏み込んで考えると、自由な社外活動の解禁が、本来の趣旨とは別の動きにつながる可能性もある。

社外ビジネスを推奨するのが当たり前になってくると、人件費の削減を目的に、こうした制度を逆手に取る企業が増えてくるかもしれない。つまり、派手な社外活動による収入増を前提に、全社員の年収を低く抑えてしまうのである。

日本の景気が順調に拡大し、先進諸国のように十分な賃金を労働者に払える状況であれば、到底、考えられないことだが、実質賃金が下がりっぱなしの日本では、副業解禁がこうした動きに結びついてもおかしくない。

給料の安さを訴えても、社外活動で大金を稼いでいる同僚社員を引き合いに出されれば、引き下がるしかないだろう。

 

自由な表現活動や言論活動、あるいは事業活動を行いたいのであれば、独立して行うのがベストであることは言うまでもない。だが、今の社会環境においては、自由に活動できる経済力を持つ人は限定的だ。そうであればこそ、田端氏のようなサラリーマン自由人が多くの支持を集めることになる。

これまで企業のサラリーマンは、自己を抑制し、プライベートにおいても○×社の社員であることを優先してきた。それは終身雇用と相応の賃金との引き換えだったが、前提条件の片方はすでに崩壊しつつある。

今後は、多くの人が望むと望まざるとにかかわらず、ネットの世界に特化したサラリーマン芸能人、サラリーマン言論人が増加し、結果的にこれが社員間の格差拡大につながっていくのかもしれない。

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