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日本政府はなぜ「移民政策ではない」という呪文を唱え続けるのか

歴史的に反復する論理構造

6月5日、政府の経済財政諮問会議で「骨太の方針2018(=経済財政運営と改革の基本方針 2018)」の原案が公表された(以下、方針原案)。

深刻な人手不足への対応策として以前より各所で報じられていた「2019年度からの外国人労働力の受け入れ拡大」の方向性に関してもその概要が記されている。

注目すべきは、方針原案の中で二度にわたって「移民政策とは異なるものとして」、「移民政策とは異なるものであり」という意味深な但し書きが付されていることだ。

誰に聞かれたわけでもないのに、「これは移民政策ではない」と日本政府自らあえてその言葉を否認してかかることの意味はどこにあるのか。歴史的な文脈を振り返りつつ考えてみた。

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新しい在留資格案の何が新しいのか

方針原案は様々な論点を取り扱っており、今回の件に関する記述は第2章の4「新たな外国人材の受入」にまとめられている。

そこで記されている新在留資格案の内容は、4月時点での情報をもとに私がまとめたこちらの記事からそれほど大きく変わってはいない。

簡単に言えば、これまでにない「新しい在留資格」を創設し、(建設や農業など)人手不足が特に深刻な業種において、専門性がそれほど高くない外国人材が単純労働の現場に即戦力として「就労」できるようにするというのが、今回の政策アイデアの根幹である。

従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある。
 

新在留資格の対象となるのは、①受け入れ業種ごとに設定された技能水準および日本語水準の試験を通過した者、②技能実習(3年)の修了者、この2種類の人々とされている。

技能実習の修了者以外にも、業種ごとの「試験」を通じて単純労働への門戸が開かれているということが以下のような形で示されている。

在留資格の取得にあたり、外国人材に求める技能水準は、受入れ業種で適切に働くために必要な知識及び技能とし、業所管省庁が定める試験によって確認する。

また、日本語能力水準は、日本語能力試験N4相当(ある程度日常会話ができる)を原則としつつ、受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定める。

ただし、技能実習(3年)を修了した者については、上記試験等を免除し、必要な技能水準及び日本語能力水準を満たしているものとする。

懸案であった「転職の可否」については方針原案に明示的な記載がなく、政府内での調整がまだ済んでいない可能性がある。

転職できないことが技能実習生の脆弱な立場の大きな要因の一つとなっており、今後の議論を注視する必要がある。

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