蝸牛(かぎゅう=かたつむり)は雌雄同体だ Photo by iStock
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「オープンリーゲイ」歌人の僕が、勝間和代さんの告白で思ったこと 

LGBTとネットの微妙な関係
勝間和代さんがバズフィード上で女性とのお付き合いを公表したのは5月末のこと。オープンリーゲイ(ゲイであることを誰にたいしても公表している)の歌人である小佐野彈さんは、自身がゲイであると自覚したティーンエイジャーの頃にi-modeが普及し、ネットの功罪を体感してきた。実体験もふまえ、改めてネットとLGBTとの関係を考察する。

僕がある歌を詠んだ理由

諭旨解雇(ゆしかいこ)されたる友の性癖がいまもネットに曝(さら)されてゐる           −小佐野彈・歌集『メタリック』より−

いつごろだっただろう、インターネット上を何の気なしにふらふらと散歩しているときに、とある事件の情報へとたどり着いた。若い公務員の男性が、公衆浴場の脱衣場で同性を盗撮したかどで逮捕された、という事件だった。

その後に行き着いた、いわゆる「まとめサイト」のようなところには、容疑者の出身地や出身校、SNSページなどが曝され、彼の性的指向はおろか、本当かどうなのかわからない、彼の「性癖」までもが書かれていた。

同じ頃、何度か一緒に飲んだことのあるゲイの知人が、元の交際相手からのアウティング(他者が本人の同意なく勝手に当該者の性的指向を第三者に告げること)により、職場に同性愛者であることが露見してしまい、職場に居づらくなったことから退職したという話を、共通の友人から聞いた。

そんなときにうまれたのが、冒頭の一首である。

 

ネットの出現で変わった「出会い方」

僕が高校生だったころに、いわゆる「i-mode」が登場して、携帯電話で手軽にインターネットに接続できるようになった。そしてその頃のネット上には、すでに同性愛者向けの出会い系掲示板が登場していた。

NTTドコモのインターネットモバイルサービス「i mode」は1999年1月に発表され、爆発的に普及した Photo by Getty Images

当時はまだ、写メールが一般的ではなかったから、写真の交換や投稿はできなかったけれど、多くのゲイがプロフィールなどを掲示板に投稿して、ネット上で出会うようになっていた。

インターネット登場以前は、恋人や友達を見つけるには、ゲイ雑誌の文通コーナーを通じてのやりとりや、新宿二丁目などのゲイバーでママさんやスタッフに紹介してもらう、というのが一般的だったらしいけれど、少なくとも僕の青春時代には、すでにネットを活用しているひとが多かったように思う。

そして、世の中にスマートフォンが出始めたころ、ゲイの出会い系のスマホアプリも誕生した。写真を自由に掲載できて、GPS情報に基づいて相手との距離まで把握できるスマホのアプリは、僕たちゲイの生活に大変革をもたらしたともいえる。少なくとも、僕が10代や20代前半だったころと比べて、いまは格段に出会いやすくなった。

インターネットの普及は、たしかに僕たち性的少数者にとってのひとつの福音であった。いっぽうで、あまねく広まったインターネットは、ネガティヴな意味でも僕たちの生活に作用したように思う。

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