企業・経営 不正・事件・犯罪 世界経済 ビックデータ アメリカ EU

グーグルはいつから「市場競争を阻む独占者」になったのか

劇変する「GAFA」への評価と評判
町田 徹 プロフィール

日本の公正取引委員会はどう動くか

課税なども含め、欧州的な手法は米政府の姿勢にも影響を及ぼし始めている。

欧州と違い、アメリカでは、ブッシュ(ジュニア)、オバマ政権と閣議メンバーやポリティカル・アポインティに反トラスト法(米独占禁止法)のアグレッシブな運用を目指す人物があまり登用されず、司法省や連邦取引委員会(FTC)といった独禁当局の力がそがれる一方、パソコン時代の「Wintel」(MicrosoftとIntelの2社)に代わって、第4次産業革命の主要な担い手になったGAFAがアメリカ経済の牽引役を担ったため、取り締まりや規制の議論が乏しかった。

しかし、最近は、フェイスブックが膨大な個人情報の流出事件やデータの不正使用事件を起こしたことを機に、アメリカ議会やFTCがこれまでの自由放任主義を改め、欧州委員会と同様に、GAFAを厳しく監視する体制に切り替わりつつある。

 

新興国でも、インド競争委員会(CCI)が今年2月、インド競争法(独占禁止法)に違反したとしてグーグルに13億5000万ルピー(約23億円)の課徴金を課すと公表した。インターネット検索市場での支配的地位を乱用し、自社の航空券予約サービスを検索結果の目立つ位置に表示するなどして公正な競争を阻害したと判定したのだ。GAFAを取り巻く各国の姿勢は着実に厳しさを増している。

そうした中で気掛かりなのが、長年、「吠えない番犬」と揶揄されてきた、日本の公正取引委員会の動向だ。つい先日も、同委員会の最高幹部の一人が財界の集まりで「GAFAに独占力があることは明らかだが、乱用されているのかどうかが掴めない」と自嘲気味に話し、周囲のひんしゅくを買っていたという。この期に及んで、世界的に見て競争当局として弱体と言われる状況が改善されていないことの証左だろう。

GAFAの問題は個人情報の取得方法や管理の在り方、収集したビッグデータのユーザー企業への公平な提供など多岐に及んでおり、幅広い規制の整備が必要だ。そうした規制の要であるべき独占禁止法の分野で、公正取引委員会の能力不足が原因で欧米や途上国に後れを取って、GAFAの独占力の乱用から取引先の日本企業や消費者が保護されないとすれば、由々しき事態と言わざるを得ない。

財政再建が急務になる中で、国民の血税で公正取引委員会の職員たちの給与が賄われているのだから、自主申告で課徴金を減免するリニエンシー制度で摘発が容易な談合ばかりにエネルギーを集中しないで、独占企業GAFAの独占力乱用問題にも真摯に取り組んでほしいものである。

ラジオNIKKEI第1(オンデマンド配信あり)で、4月から町田徹さんのニュース番組が週2回に増枠です!
新メディア「現代新書」OPEN!