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グーグルはいつから「市場競争を阻む独占者」になったのか

劇変する「GAFA」への評価と評判
町田 徹 プロフィール

2019年中に施行される見通し

OSとの抱き合わせ販売という今回の疑義は、ITの世界では古典的な問題だ。かつて最も大きな関心を集めたのは、米司法省が1998年に提訴したマイクロソフトによるPC用OS「ウィンドウズ」とブラウザ(インターネット閲覧ソフト)「インターネット・エクスプローラ」の抱き合わせ販売だろう。当時、ライバルだったネットスケープ社の社名と同じブラウザの普及を不当に制限したとされた。

ECも同種の問題を提起し、マイクロソフトが世界的に他社ブラウザの搭載や選択可能措置をとらざるを得なくなったことから、Mozilla Firefox(モジラ・ファイアーフォックス)や、クロームの今日があると言えるが、今回、クロームが抱き合わせ商法で制裁を受けるというのだから、なんとも皮肉な巡り合わせである。

 

ECのGAFAに対する独禁法上の追及は、こうした古典的な分野に限らない。各社の強みの源泉であるネット広告やネット検索の分野にも広がっていく見通しだ。実際、ECはすでに、グーグルのネット広告Google AdSense(グーグル・アドセンス)について競争法違反の疑いがあるとして本格調査を進めている。

アドセンスは、ウェブサイトの運営者がグーグルに使用申請をおこない、承認を受けることで利用できるインターネット広告サービスだ、その広告コードを貼り付けると、内容に則した広告が配信される仕組みになっている。商品やサービスの売買が成立しないと報酬が発生しない成果報酬型広告と異なり、ウェブサイトの閲覧者が広告をクリックするだけでサイト運営者に報酬が発生する。

2016年7月にECが発した文書では、グーグルがアドセンスの使用にあたって、アドセンスの広告を最も目立つ場所に一定期間以上掲載することを義務づけたり、競合するサービスの広告掲載を禁じたり、競合サービスの広告掲載について事前にグーグルの了承を取り付けることを義務づけていることが、競争法違反にあたる可能性があるとしていた。

米国市場における調査だが、調査会社イーマーケターによると、グーグルのデジタル広告のシェアは約42%、ネット検索広告シェアは約80%にのぼるという。

事情は欧州でも似通っており、ECは現行のEU競争法の積極的運用に加えて、今年4月、GAFAを含むプラットフォーム企業が取引先に一方的な契約を押しつけることを防ぐための調停制度を含む新規制の策定方針を打ち出した。対象は雇用者数が50人以上、売上高が1000万ユーロ(約13億円)超のプラットフォーマーだ。本社所在地にかかわらず、利用する企業や個人がEU域内にいれば対象になるため、楽天など日本企業も監視されるという。

新規制では、取引先企業の商品やサービスをネット検索に基づいてランキング付けする場合、評価基準の情報開示を義務づけることによって、プラットフォーマーが自前サービスを優遇できないようにする。スマホのアプリストアのランキングも規制対象で、報復を恐れて「泣き寝入り」する企業を減らすため、ランキングからの削除には事前告知を義務づけるという。

このほか、フェイクニュース対策としての自主規制の強化を促す。新規制は早ければ2019年中に施行される見通しだ。

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