国際・外交

日米会談後にトランプが暴露してしまった「日米の巨額取引」

大統領の心はもはやここにあらず…?
歳川 隆雄 プロフィール

トランプ氏は共同会見ではそのほとんどを用意された草稿をもとに発言していたが、1ヵ所だけアドリブで言及したのがこの防衛装備品であった。トランプ氏は安倍氏が首脳会談でbillions and billions dollars (何十億ドル)もの防衛装備品を購入すると言ってくれたと白状してしまったのだ。

安倍政権は、実は今秋に発表する防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)に「防衛費のGDP(国内総生産)比2%」を盛り込むことを予定している。2018年度当初予算の防衛費は約5兆2000億円であり、これを実行すれば、防衛費は数年かけて倍増することになる。

米国からイージス・アショア(陸上配備型迎撃ミサイルシステム)、空中給油機、海上自衛隊巡洋艦「いずも」の空母化に伴う艦載機など高額防衛装備品を導入するのだ。

 

もはや、米国の心はG7にあらず?

では、肝心なG7サミットは? 一言でいえば、トランプ氏が7日夜にツイッターで議長を務めるトルドー加首相とマクロン仏大統領に対して事実上のケンカを売ったことでも分かるが、米国による鉄鋼・アルミ製品の高関税に対し、カナダや欧州連合(EU)側の報復措置発表などG7の亀裂がさらに深まっている。所謂「6対1」構図である。

そうした中で、EU側からは、とくにメルケル独首相の安倍首相に仲裁役として期待する声が高いものの、安倍氏がトランプ氏を関税問題で説得するのは容易ではない。サミット史上初めて共同声明が発表されない可能性が指摘されるほどだ。

[写真]安倍首相はトランプ大統領の説得役を期待されているが…(Photo by GettyImages)安倍首相はトランプ大統領の説得役を期待されているが…(Photo by GettyImages)

こうした杞憂は、トランプ氏がサミット2日目の9日昼過ぎに同日夜のトルドー首相主催の夕食会を欠席してシンガポールに向けて発つという衝撃情報からしても、現実味を帯びてきた。プロトコール(外交儀礼)上、異例である。

トランプ氏は当初予定の10日夜11時(現地時間)のシンガポール到着日程を半日早めたというのである。一方の金正恩労働党委員長は11日夜に到着する。

心はG7サミットにあらず、早くも米朝首脳会談にあるのだ。

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