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「もうおねがいゆるして…」目黒5歳虐待死はなぜ防げなかったのか

二度とこのようなことが起きないために
森山 誉恵 プロフィール

【1. 虐待を発見したら必ず通報すること】

知らない人であっても、虐待と思われるケースを発見したら何度も通報することが一つ目のできることです。

本来はすべてのケースが丁寧に調査され対応されなくてはいけないのですが、虐待通報の中には誤報が混ざっていたり、近隣の人を困らせるために悪戯でかけるケースもあります。

そんな中で、複数の人から通報があったり、複数の通報があるとより緊急度の高いケースとして扱われる可能性があります。なので、「自分が通報しなくても誰かが」とは思わずに、必ず通報をしてください。

あまり知られていないのですが、児童虐待の防止等に関する法律では、「1 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない」とされており、虐待を受けている子どもだけでなく、その疑いのある子どものケースも通告が義務付けられています。疑いのあるケースも含めて、必ず通報しなくてはいけないとされているのです。

さらには「学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない」とされており、児童虐待を発見しやすい立場にある人や団体には、より積極的な児童虐待の早期発見及び通告が義務付けられているのです。

つまり学校の先生や医療機関、福祉の事業者などは、一般市民よりもより積極的に早期の虐待発見に努めなくてはいけないのです。

また一般市民よりも誤報の可能性は低いため、このような職業についている人からの通報はより緊急度の高い案件として対応してもらえる可能性もあります。

しかし平成27年度の虐待通報の内訳をみると、本来虐待を発見しやすい立場にいる医療機関は3%、学校は8%ととても低い数値となっています。患者・保護者との関係性の悪化などを恐れた結果かも知れません。

虐待通報はフリーダイヤル189(いちはやく)に電話することででき、匿名でも通報は可能です。匿名性が担保されるため、関係性の悪化は恐れずにぜひ通報をしてください。

 

【2. 虐待分野の興味、発信、投票】

日本は歳出のうち、社会保障費の占める割合が高いといわれていますが、その多くは、年金や医療、介護などに活用されており、子どもの分野、とりわけ児童虐待をはじめとした児童福祉分野への予算の割合はとても低くなっています。

虐待の対応を担う児童相談所や児童福祉司、児童養護施設や里親などの費用は、私たちが支払う税金によって賄われています。これらの予算が増えない背景には、この問題の深刻さがまだ十分に認知されていないことも関係しています。

参議院常任委員会調査室・特別調査室
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これまでないがしろにされがちだった保育園の待機児童の問題は、「保育園落ちた日本死ね!!!」のことがあってから、たくさんの人が発信し、メディアでもたくさん放送され、選挙でもたびたび重点課題として挙がるようになってきました。そして様々な自治体が待機児童対策に予算を割くようになってきています。

しかし、児童虐待に対する対策を選挙で一番に掲げたり、政党のマニフェストなどにもわかりやすく掲げられることはまだありません。たくさんの人が興味関心を持ち、発信をすることが、選挙の重点課題として挙がる第一歩であり、それが予算につながっていきます。

今回の事件を受け、さっそく小池都知事が都内の児童相談所を増やすことを発表していることからも、興味を持ち発信し続けていくことの大切さがわかります。

このような事件を防ぐには、たくさんの人が継続的に興味を持ち、発信をしていくことが一見遠回りのようで、とても大切なことなのです。

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