画/おおさわゆう
医療・健康・食

医者が注射針の事故で「肝炎」「エイズ」に感染してしまうとき

覆面ドクターのないしょ話 第19話
今回は、次郎先生が医者の「職業病」というべき疾病を紹介してくれます。事故によって感染してしまう重篤な疾病や、さらには患者さんとのかかわりのなかで「ある病」に苦しむという、笑うに笑えないケースもあるそうで……。

注射針の事故で、肝炎、エイズに感染

3月に沖縄で麻疹(はしか)の罹患者が続出してニュースに取り上げられた。

医学部に入学すると予防接種が義務付けられている感染症がある。

麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の4種類である。

病院実習の際に、この4種の感染症の患者さんに接触する可能性があるからだ。これらの感染症に大人になって罹患すると、重症化する場合がある。私はおたふくかぜの抗体価が低く、学生時代にワクチンを接種してもらった。

以上は誰でも感染しうる病気だが、特に医療従事者にとってリスクが高い病気や障害がある。危険な業務でもあり、医療従事者を悩ませている。その一部を御説明しよう。

 

【針事故】

感染症の中には血液を介して感染する疾患がある。その代表的なものがB型肝炎、C型肝炎、そしてエイズである。いずれもウイルスが原因である。

エイズとHIVは混同されがちだが、エイズとは病名(AIDS=後天性免疫不全症候群)、HIVとはウイルス名(ヒト免疫不全ウイルス)である。

これらの3種類は普通に診察していれば患者さんから医療従事者に感染しない。感染するとしたら、どんなときか? それは、採血で用いた針を自分に刺してしまった場合である。これを「針事故」という。

注射器を扱う際に指先などを針で傷つけてしまうことがあるのである。また手術などではメスも針も使う。誤って自分の指を傷つけてしまったり、血液が飛び散って目に入る場合もある。

事故を避けるためにも、注射されるときにはおとなしくしましょう(photo by istock)

B型肝炎は感染力が強く、発症すると急速に劇症化し、命にかかわる場合もある。C型肝炎の怖いところは、今問題がなくても、20~30年かけて緩徐に肝臓がんへ進行するおそれがあることだ。そしてエイズでは免疫機能が低下するので、軽微な感染症が重症化しやすい。

血液を扱っている以上、私たちは感染の機会に常に曝されている。以上の3種類は非常に重要なので、入院患者さんや手術を受ける患者さんの感染症は血液検査で必ず調べることになっている。

なお、読者の皆様も、人に限らず動物の血液をむやみに素手で触らないよう御注意下さい。さらに、血液で感染する病気は性行為でもうつります。

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