学校・教育 東大 入試

現役東大生が教える「論理的に考える力」の鍛え方

東大入試で問うのは「知識量」ではない
西岡 壱誠 プロフィール

東大生はビジネスマンよりビジネスマンらしい

これらの「論理的思考力」を問う問題を潜り抜けただけあって、東大には「論理的思考力」が身についている学生が非常に多いです。そして彼らは、ビジネスマンよりビジネスマンらしい。自ら能動的に動き、合理的で論理的に思考することができるのです。

先ほどの東大の問題が「北海道と青森の共通項があるはずだ、きっと最北端の2都道府県であることが関係しているな」と考えられるように、端的に言って頭がキレる。目の前の問いに対して、さまざまな角度から物事を考えて、自分なりの答えを出そうとするのです。

例えば試験勉強していてわからない問題が出てきたときに、「一体何がわかっていないのか」を客観的に考えるのがとてもうまいです。「わからないということは、根本的に理解が不足しているか、問題文を読み間違えているか、こういう分野の知識量が不足しているかのどれかだな」と把握して、問題解決にあたる。情報を処理して、自分の問題点を洗い出し、適切な行動を取る。

 

こんな話があります。東大学内の経済のテストでとてもいい成績を取った先輩に、「どうすればあのテストでいい点が取れますか?」と質問したところ『落ちこぼれでもわかるミクロ経済学の本』(木暮太一著)を紹介されたのです。「この本を読むのが一番近道だよ」と。

「ええ!? この本? もっと難しそうな本じゃなくて?」と考えながら読んでみたのですが、たしかに頭に入る。僕もこの本のおかげで試験でいい点を取ることができました。

こんな風に、東大生は非常に合理的に問題解決にあたります。どのような手段であれ、「落ちこぼれでもわかる」というタイトルの本であろうが、それを読むことが適切だと見抜いたらその通り行動することができる。

「合理的な行動を取り、問題解決に当たることができる」というのは、さながらやり手のビジネスマンみたいですね。合理性を謳うビジネス書は多いですが、ビジネス書を読んでいない東大生が、ごく自然に、合理的行動を取ることができる。

能動的に学習して、合理的に行動する。そうやって論理的思考力を身につけていく、そんなビジネスマンよりビジネスマンらしい東大生が多いのです。

AIが台頭し、知識量があるだけでは太刀打ちできない時代がもうすぐそこまで迫っています。それを受けて文科省は、2020年には大学入試を大きく変え、従来の知識を問う問題ではなく思考力を問う問題を増やすと宣言しています。それを受けて多くの大学の入試問題も変化すると言われており、また学校のあり方や社会も変わっていくのかもしれません。

そんな時代の変化の中にあっても、東大は70年前から全く変わることなく、「知識の運用能力」を問う問題を出題し続けています。

東大の入試問題から、これからの社会の変革に対応するための力を学ぶことができる、と言えるかもしれませんね。

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