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学校・教育 東大 入試

現役東大生が教える「論理的に考える力」の鍛え方

東大入試で問うのは「知識量」ではない

もしもあなたが、「東大の入試問題を解いてください」と言われたら、(同校の卒業生でもない限り)そんな難問、私には無理ですと白旗を上げるのではないだろうか。

しかし、「東大の入試問題の多くは、中学生でも、受験から遠ざかった大人でも、意外と解ける」のだと言い切るのが、『現役東大生が教える東大のへんな問題解き方のコツ』の著書もある西岡壱誠氏だ。

東大の入試は、単純な「知識量」を問うわけではない。大事なのは、むしろ「知識の使い方」なのだという。問題を前にしたとき、知識をうまく運用する。そんな「論理的に考える力」はどうしたらつけられるのか、実際の問題も例に出しつつ、西岡氏が解説する。

知識は最低限あればいい

「東大の入試問題は『知識量』を問うものではありません。」

毎年、東大の入学式で五神総長は東大生にこう語っています。

「『知識量』は最低限でいいので、『知識の運用能力』、つまりは知識をうまく運用できるかどうかを問うものです」

この言葉に違和感を覚える人も少なくないはずです。多くの人は、東大の入試問題に「知識量がないと解けない問題ばかり」「記憶力が優れていて、鬼のように暗記できる人間しか解けない問題が多い」といったイメージを持っていると思います。

それが、東大の総長が「知識量は最低限でいい」なんて語っているというのはおかしな印象を受けることでしょう。

そこでみなさんに、東大の問題を1問解いてもらいたいと思います。

「ええっ、東大の問題?」「解けるわけないじゃん」とお考えかもしれませんが、大丈夫です。知識量は最低限でいいので。

【問題】
風力発電所の設置数1、2位を占める青森県、北海道は、風力発電所の立地条件としてどのような優位性を備えているか。自然条件の面から述べなさい。

[2015年 地理 第1問 一部改変]

ヒントは、青森県と北海道の共通点です。この2つの都道府県に、一体どんな共通項があるでしょうか?

青森県と北海道で風力発電が盛んな理由とは?

「風が強く吹いていれば、たくさん発電できるはずです!」
「青森県や北海道は海に面していますから、海風でたくさん風が来るはずだ、だから風力発電が盛んなのでは?」

……なんて、回答を考えた人もいるでしょうが、これでは不正解です。

「海風がたくさん吹くから青森県や北海道がいい」とは言いますが、海に面している県なんて、他にいくらでもあるはずです。千葉県でも新潟県でも鳥取県でも風力発電できそうですよね?

なのに、青森県と北海道というたった2つの都道府県で、日本の半分以上の風力発電が行われているんです。この2県にしかないような理由があるのだと思いませんか?

そう考えてみると、青森県と北海道、または鹿児島県にあって、他の県にはないものってなんでしょう?

 

これは地図を見てもらえればわかります。

青森県も北海道も鹿児島県も、海岸線が長いですよね? 海に面している土地がたくさんあるのです。海に面している土地が多いということは、その分広大な土地を確保できるわけです。

普通に考えて、風力発電の風車は大きいです。1個あるだけでも相当な大きさですし、まして発電のためにはたくさん設置しなければなりません。また、あれだけの大きさのプロペラなので、騒音がめちゃくちゃ大きいはず。

だから、周りにたくさん人が住んでいるようなところでは風力発電はできません。その点、海岸線が長ければ人が周りに住んでいないような土地も確保できるはず。

北海道・青森県・鹿児島県は、【風が吹いて、その上で海に面した広い土地がある都道府県】なのです。だからこそ、風力発電に適しているんですね。

さて、これが「1つ目」の理由です。「北海道・青森県・鹿児島県」という「3県」の理由です。

ですが、「北海道と青森県」の理由が問われているので、この2つの都道府県にしか適用できない「2つ目」の理由を考えてみなければなりません。

北海道と青森県にだけあるもの、あるいはないもの。皆さんは思いつきますか?

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