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ドイツのサッカー選手が巻き起こした「大スキャンダル」その善悪

これは「歪んだ最敬礼」だったのか

「大スキャンダル」勃発

ドイツ出身のプロサッカー選手であるメスト・エジル(Mesut Özil)とイルカイ・ギュンドアン(İlkay Gündoğan)とジェンク・トスン(Cenk Tosun)の3人が、5月14日、ロンドンのホテルでトルコのエルドアン大統領と面会し、それぞれサイン入りのユニフォームTシャツを大統領に贈った。

エルドアン大統領自身も若い時に、アマチュア・サッカーの選手として活躍したことがある。

ところが、4人で仲良く写っているその写真が発表された途端、メディア、サッカー協会、一部の政治家がひどい大騒ぎを始めた。

ギュンドアンはご丁寧にもTシャツに、「私の大統領へ尊敬を込めて」と書いていた。「大スキャンダル」の勃発である!

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エジルは現在、ロンドンのアーセナルFCに所属。ギュンドアンはマンチェスター・シティFC。二人ともトルコ系の移民だ(トスンはドイツ生まれだが、プロになってからはドイツチームに所属したことはないので、今回の話とは無関係)。

エジルはすでにドイツに帰化しており、ギュンドアンはトルコとドイツのダブル国籍所持者である。だから、二人はドイツ人として、ドイツのナショナルチームにも参加してきた。

 

さて、冒頭の「大スキャンダル」に話を戻す。

非難の内容は、ひとことで言うなら、「民主主義を足で踏みにじっている独裁者と、仲良く写真を撮るとは何事か!?」「ナショナルチームのメンバーは、ドイツに忠誠を誓うべき」ということらしい。

ドイツ政府の移民統合問題委員であるヴィットマン-マウツは、これは「エルドアンに対する歪んだ最敬礼」で、「サッカー協会が掲げるダイバーシティ(多様・多彩・寛容)に反する」と非難。

ドイツ議会のスポーツ委員会の委員長フライタークは、「このような行動は、私たちの価値観にもドイツのスポーツの基本精神にも合致しない」。

ドイツサッカー協会総裁グリンデル氏は、サッカー選手たちが反民主主義者であるエルドアンの選挙戦の策動に利用されたと、ひときわ激しい非難を展開。「選手たちは、自分たちが間違いを犯したということがわかっていると思う」。

まだまだある。緑の党の元代表オツデミアは、「ドイツのナショナルチームの選手の大統領は(エルドアンではなく)シュタインマイヤーである」。

メルケル首相までが、彼らの行動は「疑問を呈し、誤解を招く状況であった」とコメントした。

日頃、「ドイツ人としての自覚」や「愛国心」などという言葉を聞いた途端に、国家主義的であるといきり立つ人たちが、どういう風の吹き回しか? それに、いくら彼らがエルドアン大統領を嫌いだといえ、トルコ系の移民がトルコの大統領に会ってはならないというのは、少々行き過ぎではないか。

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