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大塚家具のビジネスモデル大崩壊で、銀行が備え始めた「Xデー」

ついに担保保全に走り出し…
高橋 篤史 プロフィール

「家具や姫」の末路

不可解なのは、大赤字に陥った16年12月期も80円配を継続、さらに赤字幅が拡大し現預金の枯渇さえ心配され始めた前期も減配とはいえ年40円配を実施した点だ。

前期はアレンジメントフィーとして1億円を費用計上したが、これは前述のコミットメントライン設定に関するものとみられる。それだけの手数料を払ってやっとのこと融資枠を確保するという状況下、タコ足配当をするのは馬鹿げている。

久美子氏の過去の動きをあらためて調べると、実父・勝久氏からの経営権奪取は用意周到なものだったとわかる。始まりは久美子氏がいったん取締役を退任して4年後の08年2~4月。久美子氏の主導で資産管理会社「ききょう企画」の株主構成を見直し、同社発行の社債15億円と引き換えに勝久氏の保有株を大量に移したのだ。

 

それまでききょう企画株の50%は久美子氏の一歳下の長男・勝之氏が持っていた。勝久氏は勝之氏を後継者と考えていたからだ。

そこで久美子氏は相続対策と称して、勝之氏の保有株を自身と二女・舞子氏、三女・智子氏(夫は現・取締役専務執行役員の佐野春生氏)、二男・雅之氏(現・執行役員社長室長)にも分け与え、各18%と平等にした上で大塚家具株を保有させることを提案(残り10%は実母の千代子氏が保有していた)。

これに伴い、久美子氏ら譲り受け側には贈与税納付のため各自2000万円の銀行借り入れが必要だったが、それでもスキームを実行した。

かねて周囲に対し「自分が後継社長になる」と言って憚らなかった久美子氏はその後、舞子氏、智子氏、雅之氏を味方に付け、ききょう企画を実質支配。勝久氏を説き伏せ、09年3月に念願の社長に就任する。が、前述した社債15億円の償還を勝久氏から求められると、14年1月に同社の取締役から解任して閉め出した。

続く7月、激怒した勝久氏により大塚家具の社長を解任されると、久美子氏はききょう企画を足がかりに反撃、勝久氏のパワハラ問題などをあげつらい株主として訴訟提起を要請する内容証明郵便を監査役に送るなどし取締役会を揺さぶった。そして「家具や姫」との親しみやすいイメージを振りまき、株主総会でのプロキシファイトを制し、実父・勝久氏の追放に成功する。

現在、ききょう企画は前述の社債償還のため三井住友銀行から10億5000万円を借り入れ、さらに三菱UFJ銀行にも保有する大塚家具株の3分の1を担保に差し出している。経営権奪取の足がかりとしたききょう企画の保有資産は大塚家具株がほぼすべてで、借金の利払いはその配当金だけが頼りだ。

赤字にもかかわらず配当を続ける真因がそこにあると考えるのは邪推だろうか……。

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