経済の死角

「カネ儲けとしてエコを考える会社、
いい未来のために存在する会社」

ベネッセホールディングス取締役会長
福武總一郎

2009年11月25日(水) セオリー
週刊現代
upperline

〔日本発! 電気自動車革命が始まる〕
現代の踏み絵「エリーカ」を断固応援します!

現代の企業活動では、環境問題という視点ははずせない。だが、本当に地球の、人類の将来を見据えた「エコ」なのだろうか。福武總一郎氏は、「エリーカ」に「明るい未来」を見出した。
福武 總一郎ふくたけ・そういちろう
1945年岡山県生まれ。早稲田大学理工学部を卒業し、日製産業を経て'73年福武書店入社。'86年に代表取締役に就任する。'95年にベネッセコーポレーションに社名変更。'03年より会長。'09年10月に持株会社移行により、ベネッセホールディングス会長に。ほか、直島福武美術館はじめ4つの財団の理事長を務める。'09年8月にシムドライブ会長に就任

 以前から清水浩先生が開発した電気自動車「エリーカ」には強い関心を持っていました。そこで2009年の1月に清水先生にお目にかかって、車に乗せてもらったところ、「これは世界が変わるな」と本気で思ったんですね。私は元々車が好きで、大学の卒業論文のテーマもスポーツカーの設計でしたから、直感的にこの車のすごさがわかった。

 ところがこれだけすごいポテンシャルを秘めているのに、あまり世間で認知されていなかった。2004年に開発して以来、政財界の多くの人が「エリーカ」に乗り、車メーカーの人も沢山来たけれど、その後はあまり関心を持たれていない状況だとお聞きしました。「これほど画期的な車に対して、国と自動車業界が冷たい態度をとっているのはおかしい」と感じたんです。ちょうどその頃にナノオプトニクス・エナジーの藤原洋社長と、ガリバーインターナショナルの羽鳥兼市会長もこの車の素晴らしさを知って、何かしたいという思いを抱いておられました。そこで四人が中心となって、一緒に新会社『シムドライブ』を立ち上げることになったのです。

 考えてみれば自動車業界に「エリーカ」が受け入れられにくかったのも当然かもしれません。あまりにも画期的な車ですから、下手をすると自動車産業を根底から崩しかねない。

 しかし、時代は石油から電気へ、エネルギーの主体が変わろうとしています。原油の値段も不安定でここ最近どんどん上がっている。元アメリカ副大統領のアル・ゴアが2006年に『不都合な真実』を発表したことで、地球温暖化の問題は世界的にも一気に重要なテーマになりました。かつてロックフェラーが石油を産業化し、T型フォードが自動車の時代を作って20世紀の成長のシンボルとなったアメリカでも、GMが倒産し、オバマ大統領が登場してグリーン・ニューディール政策という新しい方針を打ち出した。そのような状況で、電気自動車の可能性を抑えることはもうできないのです。

大きな革命を自動車は経験していない

 電気自動車への関心が高まれば、現在の自動車メーカーは変革を余儀なくされるでしょう。系列の部品会社やそこで働いている人々も一時的には仕事を失うことになる。しかしエンジンという機械はダイムラーによって120年以上前に発明された技術です。それ以来、改良が加えられ続けたとはいえ、いま進化の限界を迎えている。かつて列車のエネルギーが石炭から電気に変わり、飛行機がプロペラからジェット機に変わったような大きな革命を自動車は経験していません。

次ページ  特に日本の場合は、自動車の販…
1 2 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ