不正・事件・犯罪 週刊現代

有名企業の幹部らに聞く「日大の宮川くん、御社なら採用しますか」

あの謝罪は企業トップでも真似できない
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他人を批判しなかった

あの記者会見はビジネスマンたちの心にも響いていた。明治安田生命の管理職B氏もこう指摘する。

「記者会見で注目すべきは当意即妙が問われる質疑応答です。宮川君は自分の立場で、何を言ってはいけないかをよく理解していました。

たとえば、テレビのリポーターたちは、宮川君から監督やコーチへの恨みや怒りのコメントを引き出そうとして、質問を繰り返しました。しかし、彼は『自分が言うことではない』と毅然と答え、謝罪会見で他者を批判することを徹底的に避けた。

これは事前に頭の中で物事を整理できていた証左です。彼はロジカルにモノを考えられ、プレゼン能力も高いと言えるでしょう」

宮川君のこうした理解力の高さは、優秀なアメフト選手ならではのものだとB氏は続ける。

「アメフトは、チームの戦略に基づいて自分の役割を子細に理解したうえで、どういう行動が合理的かを考え抜くスポーツです。アメフトの試合はワンプレーごとに区切られ、ひとつのプレーごとに戦略的な動きが求められる。

宮川君は日本代表に選ばれるレベルの選手で、ポジションはディフェンスライン。守りの要であり、チームの戦略を頭に叩き込める能力がないと、まず代表選手には選ばれない。また事前の打ち合わせも重要で、試合ではその準備の差が如実に出てくる。

つまり計画的に実行する能力も求められます。こうした彼の能力は、営業職はもちろんですが、幹部候補としてもほしいと思う経営幹部は多いでしょう」

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トヨタ自動車の幹部C氏は、宮川選手の会見を評価しつつ、難局での対応力にも期待する。

「ウチにもアメフトチームがあるんですが、3部リーグなので、日本代表クラスの選手は来ない。宮川君がうちに応募してきたら?うちのカラーに合えば採用したい。実直さは魅力ですが、どの部門が適性なのかは記者会見だけではわからない。

企業社会では白黒だけでは突っ走れずに、グレーな状況もある。その場合にどう対応するか。正義感だけでは問題の解決にいたらないこともあるんです。

ただ宮川君の場合は、今回の経験が貴重な糧になるでしょう。自分を支えてくれる両親や弁護士と上手くコミュニケーションがとれていたからこそ、あの危機的状況で記者会見ができた。グレーな問題にも対応できるかもしれません」

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