金融・投資・マーケット

粉飾決算をプログラムで見抜け!「伝説の会計士」の挑戦

その名も「フロード・シューター」
藤岡 雅 プロフィール

フロード・シューターの実力

過去の粉飾事件についても細野氏は詳細に分析してきた。経営者が無罪となった長銀粉飾決算事件や日債銀粉飾決算事件、逆に有罪に問われたライブドア事件でも、細野氏は粉飾決算に対する司法の解釈を厳しく批判している。

それは一言で言えば、悪質な粉飾決算が無罪となり、無罪となるべき事件が有罪となっているという批判だが、これは会計原則に忠実に評価している点で、強い説得力を持っている。

また企業分析を通して、粉飾事件や財務上の巨大なリスクが発覚する端緒を切り開いてきたことも細野氏の特徴だ。細野氏の活動の契機となったのは、キャッツの粉飾事件で罪に問われた細野氏の第一審の最中の05年だった。細野氏が言う。

「公判の傍聴に訪れた一人のジャーナリストから日興コーディアル証券の決算を分析してほしいと依頼がありました。調べてみると特定目的会社を使って約1260億円が粉飾されていることが良く分かった。この分析をもとに取材を重ねたジャーナリストが記事を発表し、その後の粉飾決算発覚に繋がった」(以下、発言は細野氏)

 

金融庁は5億円の課徴金を課し、07年2月、日興コーディアル証券の監査を担当し、決算書にお墨付きを与えたみすず監査法人(旧中央青山監査法人)は解散の憂き目にあった。05年に発覚した巨大粉飾事件のカネボウ粉飾事件の担当監査法人でもあったみすず監査法人は日興コーディアルの事件に追い打ちをかけられたのだ。

「中央青山は、かつて日本で最大手の監査法人でした。その監査法人を私の分析で潰してしまったわけです。この日の夜は眠れませんでした。しかし一夜明けて、財務分析はこれほどの力があるのだと意を強くした」

監査制度に限界があるのは明白だった。以来、今日まで細野氏が手掛けた企業分析は13年間に21社。日本航空や東芝の経営危機の分析を送り出し、そのレポートは報道をリードしてきた。「フロード・シューター」の実力はそんな細野氏の経験に裏打ちされているのである。

新メディア「現代新書」OPEN!