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「不要」が通説の民間医療保険、でも本当にそう言い切れますか?

日本の社会保障の未来を考えると…

前回のマネーシフトでは生命保険について取り上げたが、今回のテーマは医療保険である。日本の公的医療保険制度を考えた場合、民間の医療保険の多くは不要というのが現実だが、人生100年時代を見据えた場合、少し違った視点も必要となってくる。なぜなら医療費の増大によって国民皆保険制度の基盤が揺らぎ始めているからである。

(この記事は、連載「寿命100年時代のマネーシフト」の第11回です。前回までの連載はこちらから)

原則として医療保険は必要ないが……

生命保険の商品はたいていパッケージになっているので、内容について深く考えずに、生命保険の加入と同時に医療保険に入る人も少なくない。また、重篤な病気に対しては、「がん保険」といった単体の医療保険を利用している人もいるだろう。

最初に認識しておくべきなのは、日本は国民皆保険制度となっており、あらゆる治療が公的な保険でカバーできるという事実である。

保険料の滞納さえなければ、基本的に3割の自己負担で病院にかかれるので、個人で用意しなければならないのは自己負担分だけだ。
 
しかも、重篤で高額な費用が必要となる病気の場合、高額療養費制度による補助があるので、さらに低い自己負担で治療できる(年収によって自己負担の上限額が設定される。例えば年収約370万円~約770万円で70歳未満の場合は8万100円+ (医療費-26万7000円)×1%)。

子供の治療費については自己負担分も含めて全額助成されるケースが多い(自治体によって条件が多少異なる)。

また緊急性が高い場合には、自己負担分をすぐに用意できなくても治療が拒否されるケースはほとんどない。つまり、今の日本においては、医療保険は必要ないと言い切ってしまっても過言ではない状況といえる。

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しかしながら、現実にはいろいろなケースがあるので、医療保険に入っていたほうがよいことがあるのも事実である。個室の選択などは、まさにその典型といってよいだろう。

大部屋が苦手という人は、個室に入院することになるが、4人以下の病室の場合には公的保険の適用対象外となり、差額ベッド代を支払う必要がある。自分は大部屋しか入らないので大丈夫という人も多いかもしれないが、そう簡単にはいかないこともある。

 

個室は高額の差額ベッド代が必要となるので、患者にはあまり人気がないが、その分、部屋が空いていることが多く、すぐに入院できるケースが少なくないのだ。

病院側は、患者から同意を得ていない場合には差額ベッド代を徴収できないルールになっており、病院側の都合で個室になった場合には、差額ベッド代は徴収されない。

だが現実には病院もビジネスであり、単価の高い個室を積極的に勧めてくることも多い。病院側とのスムーズなやり取りを考えると、差額ベッド代は払ってしまったほうがよいケースもある。 

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