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35歳の「高齢処女」が、初めてのパートナーから学んだ大切なこと

自分で自分に重荷を背負わせていた
菅野 久美子 プロフィール

溢れ出した涙と思い

さりげなく女性経験を聞くと、社交的で明るい性格の良太は、これまで数人の女性経験があると隠す様子もなく、話してくれた。

良太はごく自然な流れで、麻衣さんの中に入ってきた。

夢にまで見た、処女喪失。不思議と痛みは感じなかった。ただセックスの最中に、「どのくらいしてないの? キツいよ」と驚かれたという。苦笑いをして、ごまかした。良太よりも自分が3歳年上ということもあり、どうしても最後まで本当のことは言えなかったのだ。

 

「今でも、この人はすごいなと思うんですけど、初めてだったのに全く痛みもなく、スムーズに挿入までできたんです。血は出なかったですね。

処女喪失した瞬間、ものすごく感動して、そして嬉しくて、ホッとしてポロポロと涙が出てきた。前の人とはものすごく緊張もしたし、何回チャレンジしてもできなかったから、『私、何かおかしいんじゃないか』と思っていた。

これまで色々溜まっていた思いが、一気に溢れてきちゃったんです」

全てが終わった後に、麻衣さんは良太にどうしても告げなくてはいけないと思った。以前付き合っていた啓介には、最後まで本当のことが言えなかったからだ。

麻衣さんは、こぼれる涙を抑えながら、良太に言った。

「ごめんなさい! 私、実は初めてだったんだよね」

そんな麻衣さんの様子に、良太は驚くそぶりもなく、それはなんとなくわかっていたと、優しく答えた。やっぱりバレてたんだ、麻衣さんはそう感じた。

麻衣さんは安堵して、涙が止まらなかった。良太は白馬の王子様でもないし、「an・an」のDVDに出てくる「エロメン」でもない。そして、燃え上がるような大恋愛をしたわけでもない。

でも、麻衣さんは初めて、自分と真正面から向き合ってくれる「現実の男」を手に入れた、と思った。そして、その「現実の男」が初めて見えたときに、「処女」という重しが自然と取れたのだ。

写真はイメージです(Photo by iStock)

絶対にありえない話なんですが…と、麻衣さんは身を乗り出して話を続けた。

「もし、少女マンガから飛び出してきたような完璧な男がいたとするじゃないですか。それで『君のことが好きだ』と言われたら、確かに付き合うかもしれません。

でも、それだと『嫌われちゃダメだ』と思って、本当の自分は出せないと思うんです。そういう意味では、たとえ付き合ったとしても何も言えなくて、結果、辛くなっていたと思う。

前の彼とはそれが苦しかったし、もしかしたら、心を開けなくて、セックスもできなかったのかもしれない。言いたいこともいえなかったし、パンクしそうだった。

だから、いくら今までずっと夢見ていたようなイケメンが現れたとしても、それは自分にとって辛いだけだったかもしれないんですよね」

それに気づかせてくれたのが良太だった。

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