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<ルポ>子供を「肥満体」に育てたがる親たち

わが子の健康を奪う親たち(1)
あなたは子供の頃、親からあまりに多量の料理を食べさせられたせいで肥満体に育ったり、歯並びを矯正することを止められたりはしなかっただろうか? あなたが見た目のコンプレックスを持っているとすれば、それは親のコンプレックスのせいなのかもしれない――。子供たちが悲鳴を上げる「新種の毒親=奪う親」についての衝撃的な現場レポート!

残り物を無理に食べさせられて

10歳の順太は母親に連れられて中華料理屋に来たが、今苦しんでいる最中だ。

目の前に、冷えた炒飯が皿に4分の1ほど残っている。

「さっさと食えよっ!」

彼が手を止めていると、金髪に近い色に髪を染めた母親が怒声を飛ばしてくる。

「でも――」

もうお腹が一杯で食べられない、と彼が言う前に、今度は手が飛んでくる。バシッという強い音が店内に響いた。

「食えって言ってんだろっ!」

母親に耳元でまた怒鳴られて、彼は目に涙を浮かべながら炒飯を口に入れ、水で喉の奥に流しこんだ。

これは私が最近見かけた親子の事例です。

外食をしていると、これと似たような親子をしばしば見かけます。お腹一杯なのに親に無理やり残り物を食べさせられ、子供が苦しんでいるのです。

親のほうは肥満体形の時もありますし、そうでない時もありますが、子供のほうは必ず肥満体形です(上の事例では母子とも太っていました)。外食時だけでなく、家の中でも同じ事が行われているわけです。

このような親が、今回取りあげる「新種の毒親」の典型例です。

 

親の邪悪な意図

私は作家として活動する傍ら塾の講師をしており、これまで多くの子供たちと深く接してきました。そしてその経験の中で、子供が見た目のコンプレックスを持つような不適切な子育てを意図的に行う親が、多くいることに気づきました。

彼らは明らかに「毒親」なのですが、現在まだその存在は社会的に認識されていないため、「新種の毒親」だと言えます。

この「新種の毒親」に育てられた子供は、肥満体形に育てられたり悪い歯並びを放置されたりして健康被害を受けるだけでなく、同じ家に暮らす中で親の邪悪な意図を感じ取り、心にも深い傷を負います。

つまり彼らは、子供の体と心の健康を同時に奪う、恐るべき親なのです。

この連載では、彼ら「新種の毒親」のことを「奪う親」と名付けた上で、その実態に迫っていくことにします。

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「太らせておけば恋人はできない」

まずは私が経験した「奪う親」の事例を、皆さんに紹介しましょう。

例えば、今まで私が授業を担当した中に次のような親子がいました。

さくらの両親は彼女が5歳の時に離婚し、彼女は父親に引き取られた。父親は仕事人間でまったく家事ができず、祖母も3年前に他界し、今は中学生の彼女がすべての家事をこなしている。

彼女はひとつ、大きな見た目のコンプレックスに悩んでいる。同級生から「ミートボール」と呼ばれるほどの肥満体形なのだ。理由は明らかに、甘いお菓子を毎日大量に食べているせいだ。それでも食生活を改めることはできず、本人はダイエットを諦めている。

だがそれは、実は父親の作戦通りだった。家事ができない彼は、娘が将来恋人を作って家を出ていくことを恐れ、「太らせておけば恋人ができない」と考えて、甘いお菓子を常に大量に家に買い置きしておき、好きなだけ娘に食べさせて白砂糖中毒に育ててきたのだった。

この父親は保護者面談の際に、さも賢い考えのように、そんな作戦を私に披露してきました。娘は自分の所有物なのでどう育てようが自由だ、と確信している様子でした。

しかし、同じ家に暮らしていれば、邪悪な意図はやがて子供に見抜かれます。そしてその意図を見抜いた瞬間、子供の心は壊れます。

さくらは中学2年の冬のある日を境に、中学校にも塾にもぷつりと顔を見せなくなってしまいました。