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又吉直樹、壇蜜らが無茶ブリ?短歌と俳句の真剣勝負

話題の書『短歌と俳句の五十番勝負』

時間をかけて学ぶ楽しみ

―歌人である穂村さんと俳人である堀本さんが、共通のお題で短歌と俳句を作りあう「異種格闘技戦スタイル」で大きな話題となっている『短歌と俳句の五十番勝負』。いままでありそうでなかった、知的好奇心をくすぐられる一冊です。

堀本 当初は「俳句と短歌の待ち合わせ」というタイトルだったんです。元々、僕が穂村さんの短歌やエッセイのファンで、何か一緒にできたらいいなと考えていたところ、「お互いに同じ題で作りあう」というアイディアが浮かびました。

穂村 短歌も俳句も短い詩型なので、見開きで左右に並べてパッと比べられる。一目瞭然の気持ち良さがあるんですよね。だったら「対決」という形式にしたほうが読者にわかりやすいのでは、ということになりました。でもねぇ、まさか忍者の格好でインタビューを受けることになるとは(笑)。

―昔の武器に喩えると短歌は「槍」、俳句は「鎖鎌」のイメージとのことですが、その心は?

堀本 鎖鎌って、持っている時点では短いじゃないですか。でも、いざ振り回すと自在に伸びる。俳句も同じで、短いからこそ生まれる言葉の余白の部分が「長さ」だと僕自身は思っていて。

穂村 それに俳句には「切れ字」があるじゃない? だから鎖の部分と鎌の部分に分かれるようなイメージが僕の中ではある。けれど短歌には「切れ」がない。ずっと調べが連なっていくイメージだから、一本の棒のような形に喩えられるな、と。

―それぞれの歌作・句作に加え、その作品にまつわるエッセイが付され、初心者でも楽しく読み通すことができます。

堀本 俳句は象徴度が高い表現形式ですから、馴染みのない読者の方に楽しんでもらうには、季語や詠み込まれた季節などについてある程度きっちり解説する必要がある。

その点、本書ではエッセイの流れの中で自然に理解してもらえるよう、丁寧に書いたつもりです。

 

―確かに、「料峭」(注・春風が肌に寒く感ぜられるさま)など、普段の生活では出会う機会のない言葉もたくさん出てきます。しかし、本書では、するすると頭に入ってくるのが不思議です。

穂村 「動態保存」という言葉がありますが、どんな言葉も「生きた状態」で使われるところを見て初めて、人は「なるほど」と思える。要するに、俳句の季語って、そういうデータベースのことなんですよね。季語には「時間をかけて学ぶ楽しみ」があると思うんです。

一方、短歌には、自分にとって大きな出来事があったときに、その感情を形にするための器となる側面があるのかな、と。つまり、「その時の自分」を突き詰める作業だとも言える。そういう時間の捉え方の違いが表れた点は、興味深かったです。

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