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日本政府が「本格的な移民政策」に踏み出したと言える理由

画期的な新方針の「3つの課題」
毛受 敏浩 プロフィール

一方、デカセギ留学生も急増している。母国でブローカーの口車に乗せられ日本では留学生ビザで働けると聞かされて来日するケースが増加している。

日本に来るためにブローカーに100万円近いあっせん費を支払うケースもあるといわれるが、本来、留学生は資格外労働として週28時間以内でしか働けない。

月に稼げるのはせいぜい10万円程度に過ぎず、であれば学費はおろか生活費を稼ぎだすこともできないはずだ。

しかし、ブローカーが暗躍するように一部の留学生は28時間を越えて働き、また人手不足の危機に陥った日本の企業は彼らが28時間を超えて働く違法状態であることを知りながら、留学生を雇用せざるを得ないという悪循環、モラルハザード状態に陥ろうとしている。

アベノミクスによって経済がよくなった結果、深刻な人手不足が発生し、そのため不法就労の外国人を雇わざる得なくなるという皮肉な結果が引き起こされている。

そもそも、留学生の労働力を当てにすること事態、日本特有の異常な現象である。他の国で労働力として留学生に依存しようと考えている国はない。留学生はあくまで勉学が目的であり、労働目的であれば労働者として受け入れるのが筋だからだ。

日本では「移民政策をとらない」という大前提のために、深刻な人手不足に陥りながら、外国人労働者を正面から受け入れることができず、そのため極めていびつな形での実質的な外国人労働者の増加が続いている。

このままでは、制度の矛盾が拡大するとともに違法行為が横行する可能性が高まるばかりだった。

 

新たな政策のゆくえ

移民政策をとらないとする政府に対して、自民党ではその政策の見直しの動きが開始された。

4月27日に発表された自民党の経済構造改革に関する特命委員会による「経済構造改革戦略:Target 4」では極めて注目すべき内容が盛り込まれた。

外国人材の活用について、「いわゆる移民政策をとらないことを前提に、技術や技能を有する外国人材をこれまで以上に活用していく。具体的には、技能実習の修了者等が、わが国で働く道を開き、わが国で就労することができるよう新たな就労資格を創設する等の方向で制度の創設を図る」とした。

これを受けて6月5日に政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案を公表した。

ここでは(1)在留期間の上限を5年とする就労を目的とした新たな在留資格を創生すること、(2)滞在中に行う試験の合格者には家族帯同と定住を認めること、(3)すでに定住している外国人に対して生活者としての総合的な対応策をとる、という画期的な方針を示した。

「移民政策とは異なる」との文面が残ったもののこれは保守派への配慮であり、海外からは日本は本格的な移民政策へ踏み出したととらえられるだろう。

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