人口・少子高齢化 メディア・マスコミ 移民

日本政府が「本格的な移民政策」に踏み出したと言える理由

画期的な新方針の「3つの課題」
毛受 敏浩 プロフィール

5月に放送されたNHKの「縮小ニッポンの衝撃」では、幼稚園の児童の送迎バスを運転する70をはるかに超えた高齢者が、運転に自信がなくなり引退したくても代わりが見つからない現実が明らかにされたが、人手不足は高齢者の過重労働を引き起こしている。

雪下ろしもそうである。高齢化が進んだ集落で屋根の雪下ろしをするために毎年、高齢者が犠牲になる事故が全国で頻発している。

しかし、考えてみれば、高齢化した日本人がリスクのある仕事をしなくても済む方法がある。海外から若者を招き入れ雇用すればよいことであるが、それを日本は拒否してきた。

たとえてみれば、金持ちの家で、他人を雇うお金はあるにもかかわらず、他人を家に入れるのは嫌だという家長の命令の下で、家族全員が身体を悪くするまで疲労困憊して働いているようなものといえるだろう。

 

モラルハザード化する現場

さて、政府の主張する「移民政策をとらない」は実態としては底が抜けつつあった。

現実には外国人労働者は急増しており、日本に在留する外国人もうなぎ上りに増加し、2017年末には256万人と過去最高に達した。

では移民政策がないなかでなぜ外国人労働者が増え続けてきたのだろうか?

一つは政府が従来から認めている大卒者、ホワイトカラーの労働者が増えているからである。さらに大きな理由は本来、働くことができないはずの単純労働の分野で働く外国人が増加していることによる。

彼らは正面切って働くことができないため、さまざまな手段を使って入国し、実質的に就労している。その主要な方法は「技能実習生」といわゆる「デカセギ留学生」である。

人手不足と今後、加速する人口減少の下で外国人労働者の継続的な増加が予想されるが、この技能実習生やデカセギ留学生による「労働人口の自動調節弁」に任せておいてよいのだろうか?

技能実習制度は1993年に開始され、当初より途上国の人々が日本の進んだ技術を学んで自国の産業の発展に役立てることを目的としている。

しかし、この制度の下で、外国人を安い労働力として活用する例も多発し、さらに賃金未払いや過酷な労働を強いるなど数多くの労働法違反の事例が発生した結果、制度の厳格化のための技能実習法が2017年に制定された。

この法の第三条には技能実習制度は国内の労働力の調整のためではないと明確に謳われている。

ところが、技能実習生の数は昨年、過去最大となり、実態としては人手不足のために労働者を求めて日本企業はこの制度を利用している。

さらに、技能実習生で来日した外国人は年間6千人程度が失踪している。これは母国で聞いたほどの給与が得られないなどの理由によるもので日本の闇の世界に入っていく。将来の社会の不安定化につながりかねない憂慮すべき事態といえる。

新メディア「現代新書」OPEN!