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低糖質ダイエットと低脂質ダイエット、どちらが効果的?結果が判明

スタンフォード大グループが発表
近年注目を集めている低糖質ダイエットや低脂質ダイエット。どちらのほうがより効率的に痩せられるのか? と話題になることの多いこの2つですが、実はいずれのダイエット法でも減量効果に差はなく、また個人の遺伝子などの体質による影響もないとした研究結果を、米スタンフォード大学のグループが発表しています。

どうすれば痩せられる?

1990年代ごろまで、体重の増加は単純なカロリー摂取量と消費量の差で決まるという “A calorie is a calorie” が主流でした。何を食べようと、トータルのカロリーがプラスであれば太り、マイナスであれば痩せていくという主張です。

しかし2000年代になり、欧米で低糖質ダイエットがブームになったことをきっかけに、特定の栄養素を制限する減量手法が注目を集めます。それから現在に至るまで、科学の世界でも各栄養素、カロリーの摂取量と体重の増減の関係を調べる研究が世界中で行われています。

近年では、個々人の遺伝子パターンや体質のインスリンとの相性に応じた食事管理の実現を目指す「パーソナライズド・ニュートリション」と呼ばれる概念も登場しています。

今回の論文の筆頭著者であるクリストファー・ガードナー(Christopher Gardner)氏のグループも2010年に、特定の遺伝子パターンをもつ人において低糖質ダイエットの効果がより顕著にあらわれる、とした研究結果を発表しており、こちらは個々人に応じたパーソナライズド・ダイエットを実現する成果として注目されました(下記リンク参考)。

Genes Point to Best Diets
https://www.wsj.com/articles/SB10001424052748703862704575099742545274032

Your best diet? It might be in your genes
https://www.reuters.com/article/us-diet-genes/your-best-diet-it-might-be-in-your-genes-idUSTRE6224UV20100304

一方で、(1)脂質や糖質を制限した場合(2)カロリー制限を行なった場合、とのあいだで差が見られないばかりか、糖質制限によって心筋梗塞など様々な疾患リスクの上昇に繋がるとした研究事例もあり、今も議論は続いています。

【写真】カロリーの計算
  特定栄養素を制限するダイエットでも、カロリーそのものを制限するダイエットでも大きな差が認められなかったデータも photo by iStock

「低糖質vs低脂質」×「遺伝子パターンvsインスリン抵抗性」

今回、ガードナー氏のグループは、低脂質ダイエットと低糖質ダイエットの減量効果を比較することに加えて、それら2つのダイエット法において、遺伝子パターンとインスリン抵抗性(≒糖を体内に吸収する能力)という2つの要素のどちらが支配的であるかを調べています。

もし、それぞれのダイエット法で遺伝子やインスリン抵抗性の影響が顕著に現れれば、新しいダイエット法の開発に繋がる可能性も考えられるというわけです。しかし、結果は意外なものでした。

効果に差は見られず

今回JAMA誌(米国医学会雑誌)に発表されたガードナー氏らの研究では、18歳から59歳の被験者609人が2つのグループに分かれ、一方には低脂質の食事を、もう一方のグループには低糖質の食事を一年間続けて体重の増減を調べています。

すべての被験者は、特定のタンパク質の産生に関わっている遺伝子パターンを調べるテストと、空腹状態で糖を摂取した時の血糖値を調べるインスリン抵抗性テストを受けています。

12ヵ月にわたる実験の結果、いずれのグループでも体重が平均で5.9キログラム減少しており、差が見られなかったとのこと。また、被験者の中には、マイナス27キログラムと平均よりも遥かに減量した人や7〜9キログラムほど増量した人がいたものの、それらのばらつきを考慮しても、低脂質・低糖質のいずれかが他方に比べて優れた減量効果を示す結果は得られなかったと報告しています。

加えて、遺伝子パターンとインスリン抵抗性のデータを交えて比較した場合でも、いずれの要素も体重変化との関連性は見いだせなかったと結論づけています。つまり、低脂質ダイエットと低糖質ダイエットとでは、個人の体質によらず差が出ない(※)ということになります。

(※)ここで注意すべきは「効果に差がない」ということで、「効果がない」ということではないということです。

【写真】低脂質ダイエットと低糖質ダイエットの減量効果を比較
  低脂質ダイエットと低糖質ダイエットの減量効果を比較してみた photo by iStock

低糖質支持派からの反論も

この結果について、米国における糖質制限の第一人者であるゲーリー・トーベス(Gary Taubes)氏は、Forbes誌に対して「本当の意味での低糖質ダイエットになっていない」と述べています。

今回の実験では、1日あたりの糖質摂取量を、低脂質のグループで212グラム、低糖質のグループでは132グラムとしていますが、トーベス氏によるとこれでは不十分であり、効果があるとされる手法では1日あたり30グラム以下を目標としていると語っています。

これに対してガードナー氏は、そのレベルの制限は厳しすぎるとしています。同氏は「糖質や脂質の摂取目標を設定したが、食事内容を厳格に管理していたわけではない。研究期間が終わった後も持続可能なレベルを被験者自身に見極めてもらっていた」と述べており、その上で低糖質グループには実験期間中に8週間にわたって糖質を1日20グラムに制限することにチャレンジしてもらったが、ほとんどの被験者が成功したと語っています。

研究は続く

今回発表された論文は、前述した過去のガードナー氏らによる研究結果と相反するものとなっていますが、同氏によると現時点で異なる結果になった理由については明らかでないとのこと。

今後は、食事管理に対する適性や腸内細菌の構成のほか、食事習慣に関わる心理学的要因など、今回の論文では考慮されなかったデータを精査することで、過去の研究との差異が生じた原因や、低脂質ダイエットと低糖質ダイエット、それぞれの成功要因を探っていくとしています。

【写真】健康的な食生活
  やはり健康的な食生活で適切な栄養摂取がよさそう photo by iStock

【参考元】

Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2673150

Low-fat or low-carb? It’s a draw, study finds
http://med.stanford.edu/news/all-news/2018/02/low-fat-or-low-carb-its-a-draw-study-finds.html

The Key to Weight Loss Is Diet Quality, Not Quantity, a New Study Finds
https://www.nytimes.com/2018/02/20/well/eat/counting-calories-weight-loss-diet-dieting-low-carb-low-fat.html

Low-carb diets 'no better' than traditional focus on fat
http://www.telegraph.co.uk/science/2018/02/20/low-carb-diets-no-better-traditional-focus-fat/

Low-carb and low-fat diets face off in new Stanford study
https://newatlas.com/low-fat-versus-low-carb-diet-weight-loss/53489/

Why You Probably Shouldn't Waste Your Money on DNA-Based Diets
https://www.livescience.com/61807-do-dna-diets-work.html

文・くまむん

昼間はサラリーマンをしています。学生時代は表面物性の研究をしていましたが、現職は科学とはだいぶ離れた仕事に落ち着いてしまいました。「趣味はサイエンス」と言えるほどには、科学が好きです。Lab-Onで、海外の研究に関するニュースを中心に書いています。

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