磯山友幸「経済ニュースの裏側」
2018年05月31日(木) 磯山 友幸

電力大手「販売量減でも売上増」一体なぜ…?

2018年3月期決算を読む

中部電力も販売量はマイナスだったものの、減少率は0.3%にとどまった。最大の需要地である首都圏に進出して電力販売を行うなど、果敢な攻めの姿勢が奏功した。

中部電力は大阪ガスと共同出資で電力・ガス小売り会社「CDエナジーダイレクト」(本社・東京)を設立。すでに進出している首都圏の電力小売り事業の一部を同社に移管。共同事業の早期開始を目指している。

地元にしがみつリスクも

前期決算を見ると、表面上の決算は増収増益のところが多く、大手電力の先行きに不安はないように感じてしまう。だが、現実には電力の販売量が減り続けており、従来通りの地域での電力事業だけではジリ貧に陥る可能性が高い。

特に、大手電力は原子力発電所を抱えており、減価償却費だけでなく保守管理費用もかさむ。稼動すれば、火力発電の燃料費が減るためコストを吸収できるが、現状のように再稼働がごく一部の原発に限られている段階では、むしろ原発は電力経営に重くのしかかる。

販売電力量が落ち込めば、当然、採算性も悪化するため、なかなか値下げができなくなる。価格が高止まりすれば、消費者の省エネ意識が高まり、さらに販売電力量が減るというスパイラルに陥ってしまう。

 

東京電力、関西電力、中部電力、北陸電力の4社は予備電力を相互に融通する体制を目指している。

需給を調整することで、予備用の火力発電所への投資や運用を抑え、コストを削減する。地理的に融通できない沖縄電力を除く9社が連携した場合、年間1160億円程度のコスト削減効果があると試算されている。

小売分野では各社がかつて独占していた「本丸」地域に相互に進出して激しい競争を繰り広げている。また、ガス事業や通信事業に参入するなど、新しい収入源の獲得に力を注いでいる。

新電力の参入による顧客争奪戦は一段落の兆しだが、まだまだ大手から新電力に契約を切り替えた顧客は少ないとされる。

今後、こうした層の切り崩しに向けて、ガスや通信などと組み合わせた新しい料金プランなどが出てくれば、再び顧客争奪が激しさを増してくる可能性は大きい。大手電力の販売量減少に歯止めがかかるのか、目が離せない。

2
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS