磯山友幸「経済ニュースの裏側」
2018年05月31日(木) 磯山 友幸

電力大手「販売量減でも売上増」一体なぜ…?

2018年3月期決算を読む

競争激化の波、顕著に

電力の自由化が進み、家庭用の小口電力でも激しい顧客争奪戦が繰り広げられるようになった。かつては地域市場を独占してきた大手電力会社も、電力販売量の減少が続いている。

2018年3月期の大手電力10社の決算発表によると、電力販売量は北陸電力を除く9社で減少した。10社合計の販売電力量は7753億キロワット時と、前年度の7922億キロワット時と2.1%減少した。

最も減少率が大きかったのが北海道電力の7.5%減で、家庭用の「低圧」が5.2%の減少したほか、工場やオフィス向けの「高圧・特別高圧」が9.7%減と大きく減ったことが響いた。

他社との競争で契約を奪われていることが原因だ。中でも電気代がコストの大きなウエイトを占める小売業で北海道電力から新電力に切り替える動きが加速しているとされ、報道によると、コープさっぽろやセブン-イレブン・ジャパンが道内の大半の店舗で新電力に変更したという。

次いで販売電力量の減少率が大きいのは関西電力。1152億キロワット時と5.1%も減少した。関西電力の販売量は長年、東京電力に次ぐ2位だったが、2017年3月期に中部電力に抜かれて3位に転落。前期も中部電力に水を開けられることとなった。

関西電力の販売量減少は2015年3月期の4.2%減→2016年3月期5.2%減→2017年3月期4.7%減→2018年3月期5.1%減と、下げ止まる気配を見せていない。

もともと原子力発電への依存度が高い関西電力の場合、原発の運転休止の影響が大きく、電力料金が他社に比べて高止まりしている。販売量は3年前の1345億キロワット時から200億キロワット時近くも減少しており、一段と固定費が重くのしかかる状況が続いている。

大飯原発3号機、4号機の再稼動をきっかけに値下げに踏み切っており、これを機に他の新電力との競争を勝ち抜く方針だが、なかなか効果を上げていない。

 

増収の中身を見ると

販売電力量が増えていないにもかかわらず、各社の売り上げは大きく増えた。前期は10電力すべてが増収になった。燃料価格の上昇を数カ月後に電気料金に反映する燃料費調整制度によって販売価格が引き上げられたことが大きい。また、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)賦課金・交付金収入が増加したことも売り上げ増につながった。

もっとも、燃料であるLNG(液化天然ガス)や原油の価格上昇で、燃料費も増えた。10社合計の燃料費は3兆8341億円に達し、前年度に比べて13.4%増えたが、値上げによって吸収され、経常利益も大きく増える結果になった。10社中8社が経常利益で増益になった。

10社のうち、唯一、北陸電力だけが販売量を増やしたが、これは卸電力取引所での売買を拡大していることが大きい。卸販売は62%も増えた。

これを除いた小売販売だけで見ると、前期比2%増だった。業務用は苦戦したものの、冬場の豪雪などによって、平均気温が低かったこともあり、家庭用の電灯・電力はいずれも伸びた。

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