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医療・健康・食

将来、絶望しないために覚えておくべき「介護保険」のこと

「その日」は必ずやってくる…

複雑すぎて、わからない

日本は世界に冠たる長寿国になりましたが、平均寿命と健康寿命の差が広がり、女性で約12年間、男性で約9年間、平均的に要介護状態になります。

介護と無縁でいたいのは万人の思いですが、自分も家族も介護を受けずに人生を全うできるのは、少数の幸運な人に過ぎません。長寿国に住む我々にとって、「誰もが介護のしくみを知らなければならない時代」はすぐそこに迫っています。

しかし、一般の人で介護のしくみを自ら学ぼうという人は、そう多くありません。十数年前の私も、「介護の世界のしくみなんて、学ぶ必要はないだろう」と思っていました。

しかし、介護の取材を始めたとたん、そんな考えは吹き飛びました。しくみがわかっているのといないのとでは、雲泥の差があったのです。

介護のしくみは、大きく分けると2通りあります。その一つが、介護保険制度(2000年に始まり、3年に1度改正されている)に代表される世の中のしくみです。

介護の世界で取材を始めた私がまず驚いたのは、制度の複雑さでした。当時介護雑誌の編集部にいた私は、2006年春に改正介護保険の特集を組んだとき、何度責任ある立場から逃げ出したいと思ったかしれません。

改正の内容がつかめないばかりか、介護保険制度の知識が不十分で、どこがどう変わるのかさっぱりわからなかったのです。

介護保険制度を理解するには、それ以前に行われていた措置制度にまでさかのぼって、日本の福祉の流れを頭に入れなければなりません。手にした本はどれも介護職向けで、これまでの制度がわかっている人のために書かれたものばかりでした。

そのとき、手探りで制度のしくみを学びながら、「途中からこの世界に入った人でも、これまでの流れが一冊でわかる本があればいいのに」と痛感したものです。

縁あって講談社から『完全図解 世界一役に立つ介護保険の本』のお話をいただいたとき、私の脳裏に浮かんだのは、まったく介護のことがわからない人でも面白く読める本にしたい、との思いでした。

アジアではお手本の制度

書店に行けば、介護保険制度を解説した本はいくらでもあります。しかし、残念なことに「ここが変わった」と書いてあっても、「以前どうだったか」は書かれていません。

本書は、一から介護保険を学ぶ人のために、これまでの流れがわかるページを随所に設けました。そこが類書と一線を画する部分だと自負しています。

 

また、イラストや図版を多用しました。タイトルに「完全図解」と銘打った所以です。まったく介護がわからない人が読んだとしても、面白く読めるはずです。ベテランの介護職だけでなく、新人にも家族介護者にも役立つ入門書となっています。

類書と異なる点は、ほかにもあります。たとえば本書では、保険外サービスに1章を割いています。2000年以降、介護保険サービスが浸透し、行政や民間の介護サービスが見えにくくなっています。本書では、介護保険以外のサービス窓口を多数掲載しました。

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