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ライフ

孫に執着するばぁばの「狂気」から逃れるためにできること

世代間連鎖を防ぐ子育て論〈11〉

「おばあちゃん」から「ばぁば」への変化

駅ではよく、「ばぁば! こっちだよ」と大声で呼んでいる幼児を見かけます。

散歩をしていると、孫らしき子どもから「じぃじもいっしょに遊ぼう!」と言われた白髪交じりの男性が、「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」と片足飛びをして見せているところに出会います。

知らないうちに、いつのまにか祖父母の呼び方は「じぃじ」と「ばぁば」が主流になっていて、テレビCMでも流されるほどになりました。これは全国的な傾向なのでしょうか。

「じぃじ・ばぁばの孫育て」的なタイトルの本は何冊も出版されており、知人は、大きく「じぃじ」とプリントされたTシャツを着て孫の運動会に行った、と喜々として語りました。

もちろん、祖父母をヒロユキさん、ヨシコさんというように名前で呼んだり、おじいちゃん、おばあちゃんと呼ばせている家もあります。どんな呼び方をしようと基本的にその家族の自由であることは言うまでもありません。

しかし、いったいなぜ、おじいちゃん、おばあちゃんという呼び方がここまで廃れてしまったのでしょう。

 

「老い」を否認する高齢者たち

わが身を顧みずに言わせてもらうならば、呼び方の変化は「老い」の否認が背景となっていることは間違いないでしょう。

否認は否定とは違います。否定ははっきりと「そうじゃない」と主張することですが、否認は「あったことをなかったことにする」ようなとらえ方=認知を指します。

目の前にリンゴがあっても、「リンゴなんかない」と言うのが否定で、まるでそんなものがないかのようにふるまうのが否認です。

人口構成比によれば3人に1人が60歳以上の高齢者になった現在、街を歩けばすれ違うひとの多くが高齢者なのです。

私が住んでいる町では、ウイークデイの午後にチェーン店のコーヒーショップに入ると、席の9割方が高齢者で占められています。あるひとは「この町も老いたなあ」と嘆きますが、この町に限らず、日本全体がそうなったのです。

そのような現実は、社会全体を高齢者仕様に変えたのでしょうか。

たしかにエスカレーターが駅に完備されるなどの変化はありましたが、60歳以上の彼ら彼女たちは、たぶんどこかで自分のことを老人・高齢者とは思っていないのではないでしょうか。

他の高齢者を見て「年寄りくさい」「老いぼれてる」と思ういっぽうで、「自分はそうじゃない」と思っているのです。

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数年前のことですが、90歳を過ぎた実家の両親が、テレビを見ながら「ほんとに年寄りはあかん」と2人そろって嘆いているのを聞き、自分たちは年寄りじゃないと思っているのだと知って驚いたことがあります。

街で見かけた女性のうしろ姿から、30代くらいかと思ってすれ違いざまに顔を見たらしわだらけだった、という経験をされた人は多いのではないでしょうか。

特に首都圏では、「年齢相応」の服装を強いる世間の目が比較的ゆるやかなために、60代、70代でも、ファストファッションで購入したスキニージーンズとスパンコールのブルゾンというような組み合わせで平気で街を歩く女性は珍しくありません。

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