医療・健康・食

「医療費膨張の切り札」の使用を妨げる「4つの闇」を知っていますか

ジェネリックを取り巻く深刻な問題

国家財政を破たんさせかねない医療費の膨張を抑える切り札のひとつと期待されているのが、ジェネリック医薬品(後発医薬品)だ。

中小企業の社員や家族が入る全国健康保険協会(協会けんぽ)が初めて調査したところ、その期待のジェネリック医薬品の使用率に大きな地域格差があるという事実のほかに、医師などが加入する「医療業・保険衛生の健康保険組合」でジェネリック医薬品の使用が進まないなどの”4つの闇”があることが判明したという。

いったい、どういうことなのか。協会けんぽの調査を紹介したうえで、ジェネリック医薬品を取り巻く問題を概観してみよう。

 

悪夢のような試算

政府は5月21日、経済財政諮問会議に対し、「65歳以上の高齢者人口が4000万人弱とピークを迎える2040年度に、医療や介護、年金などにかかる社会保障給付費は約190兆円」と、今2018年度の国家予算(一般会計)のほぼ2倍の巨費に膨らむという悪夢のような試算を初めて提示した。

政府はこれまで、「団塊の世代」全員が75歳以上の後期高齢者になる2025年に向けて「社会保障と税の一体改革」を進めてきた。その改革は2019年10月に消費税を10%に引き上げられれば一段落するとされていた。

ところが、まだその先に、もっと大きなヤマが待ち構えていることが浮き彫りになったのである。医療を含む社会保障制度の持続可能性を保つためには、給付を大胆に抑制すると同時に、国民負担を増やす改革が急務なことは明らかだろう。

医療費の膨張抑制の切り札の一つとして、政府が2020年9月を目標に進めているのが、2017年9月に65.8%だったジェネリック医薬品の使用率を80%に引き上げることだ。

医薬には、ドラッグストア・薬局などで自由に購入できる「一般用医薬品」と医師の処方が必要な「医療用医薬品」の2つがあり、このうちの医療用医薬品が「新薬(先発医薬品)」と「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」に分けられる。

新薬は、長い年月と膨大な費用をかけて開発されるので、特許が認められる。が、特許期間が過ぎると、他の製薬会社が同じ有効成分を使ったくすりを製造・販売できるようになる。これが、ジェネリック医薬品だ。

つまり、ジェネリック医薬品は新薬に比べ開発費や開発期間が少ない分、新薬より安く販売できるわけだ。医療用医薬品は医療保険のカバー対象だから、ジェネリック医薬品の使用比率を高めれば医療費の膨張も抑えられる。

このところのジェネリック医薬品の使用率の向上ぶりは目覚ましい。厚生労働省によると、10年前(2007年9月)に34.9%だったジェネリック医薬品の使用率は20.9ポイント上昇して、2017年9月の65.8%に達した。

だが、アメリカ、ドイツ、イギリスのジェネリック医薬品の使用率はそれぞれ91.7%、86.3%、76.6%(独IMS社調べ、2016年9月時点)と日本を大きく上回っている。まだまだ、医療費の膨張を抑制するためにできることがあるのは明らかだ。

そこで、注目したいのが、協会けんぽが約3900万人の加入者全員の使用状況を詳細に調査した「協会けんぽのジェネリック医薬品使用促進に向けた取組等について」だ。

それによると、都道府県別のジェネリック医薬品使用率は、全国トップの沖縄県の84.0%に対し、最下位の徳島県は65.6%と2割近い開きが存在する。

それ以外にも昨年4月時点の調査で”4つの闇”の存在が明らかになった。

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