アリババグループ創業者ジャック・マー/Photo by Gettyimages
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日本が中国に「ユニコーン企業」の数で大敗北を喫した理由

明暗を分けた両国の大きな違いとは?

最近よく聞く「ユニコーン企業」とは、創設10年以内、評価額10億米ドル以上、未上場、テクノロジー企業といった4つの条件を兼ね備えた企業を指す。

アメリカの調査機関の集計によれば、2017年12月1日時点で世界に220社のユニコーン企業が存在し、それらの多くはアメリカもしくは中国の企業だ。
アメリカ発の企業は109社で全体の49・5%を占めている。これに続いて中国発の企業が59社で全体の26・8%を占める。日本は、(当時、上場が決まっていなかった)メルカリの1社のみ。

日本にはなぜ、アメリカはもちろん、中国ほども「ユニコーン企業」が生まれないのか? その背景を、中国事情に詳しく『中国新興企業の正体』の著書もある、多摩大学大学院フェローの沈才彬氏が解説する。

中国のBATHはアメリカのGAFAを凌駕できるのか

グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンという4大IT関連企業は、それぞれの頭文字を取ってGAFAと呼ばれることがある。一方、百度(バイドゥ)、アリババ、テンセントの3社の呼称であるBATに、ファーウェイのHを付け加え、私はこれら4社をBATHと呼んでいる。

BATHの成長は著しく、GAFAを猛追している状況だ。特に上場済みのBATの時価総額は2017年の1年間で倍増し、2017年12月末時点の額を合計すると1兆米ドルを超えている。

個別で見た場合、GAFAの時価総額に続くのは、アメリカ企業を除くと6位のテンセントと8位のアリババのみだ。米中企業以外を見ていくと、ヨーロッパ企業の最上位は18位の英蘭企業のロイヤル・ダッチ・シェルで、時価総額は2746億米ドルである。トヨタは42位にランクインしており、時価総額は1891億米ドルだ。ヨーロッパ勢も日本勢も、米中のトップ企業からは大きな差をつけられていると見ていいだろう。

 

では、中国のBATHがアメリカのGAFAを追い越す日はやってくるのだろうか? 以下の表1が示すように、利益額ではすでにアリババはアマゾンを大幅に上回っている。時価総額ではアマゾンに及ばないアリババだが、いずれアマゾンを凌ぐことになるだろう。

表1 中国BATHと米GAFAの比較(単位:100万米ドル、時価総額のみ億米ドル)

テンセントの場合、売上額も利益額もすでにフェイスブックと大差がない。今のペースで成長が続けば、2、3年以内にテンセントがフェイスブックを超えることが現実となる。

注目すべきなのは、百度とグーグル、ファーウェイとアップルの格差である。百度の2016年度の売上額と利益額はそれぞれグーグルの11%、8・6%に過ぎない。ファーウェイの場合は、それぞれアップルの36・4%、12・2%である。両社のライバル超えは短期的には難しいだろう。

現時点では、中国のBATHはアメリカのGAFAには勝てないが、日本のライバル企業に対しては圧倒的な強さを見せつけている。

配車アプリ、シェア自転車、ドローン、出前アプリ、民泊、通信機器、ネット通販、検索エンジン、SNSなど、9分野の日中トップ企業を比較してみた。それをまとめたのが以下の表2である。

表2 9大分野の日中トップ企業を比較

どの業種を見ても、中国企業に数字の上で圧倒的な差をつけられている。

結論を言えば、ニューエコノミー分野では日本には中国のリーディングカンパニー9社に対抗できる企業は存在しないのだ。

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