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開成中学校(以下、開成)は、2001年度に全問記述の入試問題に大転換し、翌年には合格者平均と受験者平均の公表にふみきった。そうした開成入試のなかで、私にとっての良問は04年度の問題である。
(私にとっての良問の基準は前回述べておいたので省略する。)
この年の問題は、塾教師たちの評判がすこぶる悪かった。「難しすぎる」「ヒドイ問題だ」「あんな問題、できなくていい」というわけで、過去問題演習にもとりあげられず、中学受験の世界から葬り去られた感がある。その理由のひとつが平均点の低さであろう。
85点満点で合格者平均が40.1点(47%)、受験者平均が28.4点(33%)で、この低い平均点の記録はいまだに破られていない。
だが、私の考えでは、この年の問題を評価するうえで注目すべき点は平均点の低さではなく、11.7点という合格者平均と受験者平均の差なのである。約12点という両者の差は、通常算数において見られるものだ。算数が、できる子とできない子の差がハッキリあらわれ、合否に最も大きく影響する教科だと言われるゆえんである。
ところが、同年の算数における両者の差は8点で、通常の国語なみの差しかない。つまり、この年は算国が逆転して、国語が最も大きく合否に影響を与えたと言えるのである。04年度に次いで平均点の低かった06年度(合格者平均44.1点)を見ると両者の差は6.1点しかない。
これを見ても、04年度の問題が単に難しすぎたということだけでは片付けられないのは明らかなのである。
塾での評判が悪かったもうひとつの理由が、問題文の長さと難しさ、さらには設問のわかりにくさであろう。全容をお伝えするのは不可能だが、若干の説明を試みなければなるまい。
問題文の出典は、椎名誠氏の『蚊學の者』で、9000字を超える長文である。試験時間は50分なのに、読むのが速い生徒で13分、遅い生徒は20分以上かかる。「平安元年のハマダラアカイエ蚊」と題された文章の概要は次のようなものだ。
筆者が友人7人と伊勢湾の神島という小島でキャンプをした際、平安時代の鏡が納められている神社に参拝せずに「ほいほいと」浜にテントをはったためか、深夜、蚊の大群のすさまじい攻撃を受けたというのである。この出来事が、誇張とユーモアをまじえて語られるのだが、途中で話が大きく脱線してしまう。
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