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ロボット

人間がロボットと働く未来はこういうふうにやってくる

ソフトウェア・ロボットと協働できるか

ディズニーのアニメ『ファンタジア』。古典的作品であり、ディズニーランドなどでも多くのモチーフに使われているため、ご存知の方も多いだろう。その中に、魔法使いの弟子となったミッキーマウスが、ほうきに水汲みの仕事をさせるシーンが登場する。

もともと自分に命じられていたこの仕事を、魔法を使ってほうきにやらせてしまうのだ。最初は上手くいっていたミッキーの企みだが、最後は大失敗に終わってしまう。水汲みを命じられたほうきが、その命令を忠実に守ったあまり、水があふれだしてしまうのだ。

ミッキーは必死にほうきを止めようとするが、後の祭り。最後にはあたり一面、洪水に襲われたように水浸しになってしまう――。

どんなに優れた魔法でも、それを使いこなすには知識と経験が必要だ。そしていくら注意しても、意外な落とし穴が隠れていることもある。

それは「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の場合も例外ではない。前編ではRPAの利点について紹介したが、後編ではその問題点と、RPAが同僚になる時代の働き方について考えてみよう。

(前編はこちらから)

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ロボットゆえの欠点

RPAは「ソフトウェア・ロボット」などと呼ばれ、解説書などでも人型のロボットとしてイメージ化されることが多い。この例えはわかりやすいのだが、一方で誤解を招くものでもある。それはRPAが、高度なAIか何かを搭載し、人間と同じように行動してくれるのではないかという誤解だ。

確かに前編で解説したように、RPAは人間が使うアプリケーションを、人間と同じように操作して仕事を肩代わりしてくれる。またRPAベンダー各社は、さまざまAI技術を取り入れようとしており、将来的には文字通り「ロボット」に近い働き方をする可能性もある。

だが現状は、『ファンタジア』でミッキーに水汲みを命じられ、それを機械的に繰り返したほうきに近い。つまり基本的には指示されたことを繰り返すだけで、「部屋が水浸しになっている」のように、人間なら言われなくても別の行動を取るような事態が起きても、自分で判断して作業を止めてくれたりはしないのだ。

念のために解説しておくと、RPAでも多くの場合、簡単な条件分岐(○○という条件になったら作業をストップするなど)を設定することができる。また仮に言われた通り動くだけだったとしても、RPAで大きな業務効率化を達成することが可能だ。

問題は、人間なら意識すらしないような些細な問題でも、あっさりつまずいてしまう場合があることである。そのため、そうしたハードルを事前に発見できないことが多い。

たとえばウェブの価格比較サイト上で、毎日特定の製品を検索して、その価格情報をコピーしてExcelに貼り付けるようにRPAを設定したとしよう。

ある日突然、その価格比較サイトがリニューアルされ、レイアウトが一変したらどうなるだろうか。人間であれば、新しいレイアウトになっても、その中からコピーすべき価格情報を難なく見つけられるだろう。しかしRPAは、画面が指示された通りのレイアウトでなくなった瞬間に、立ち往生してしまう恐れがある。

そんなことで? と思われるかもしれないが、それは自家用車の組み立てを行う産業用ロボットに、「同じクルマだから一緒だろう」といってトラックの部品を与えるようなものだ。いくら高性能なロボットだとしても、扱うものや条件が少しでも変われば、再設定してやる必要がある。

 

こんなケースもある。コールセンターから送られてくる、お客様からの声をまとめたファイルを読み取り、その内容を社内の別システムに登録するとしよう。

その際、コールセンターからのファイルに入力されている「お客様の住所の都道府県」を、社内システム上では「北海道・本州・四国・九州・沖縄」のいずれかに分類しなければならないとする。

人間であれば難なくできる作業だ。しかしRPAに任せる場合、どの都道府県がどのカテゴリーに分類されるかまで、きちんと定義しておかなくてはならない。

当たり前、と思われただろうか。しかし前述の通り、人間はこうした作業を無意識にこなしているため、いざRPAに置き換えようとすると意外な落とし穴に驚くことがあるのだ。

このように、「人間は大丈夫だがRPAは乗り越えるのが難しい問題」があったり、RPAに操作してもらう対象に頻繁に、あるいは事前の連絡なしに変化が発生したりする場合、通常よりも手間をかけてRPAを設定することになる。

その結果、予想以上にRPA導入コストがかかったり、最悪の場合には、RPA導入前よりトータルでの作業量が増えてしまったりするのである。

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