国も睡眠の問題は避けて通れない

人口の減少にともなう労働力不足を解消するために、2016年から提唱されているのが「働き方改革」。一億総活躍社会を作るために女性や高齢者を働き手とする、出生率を上げる、労働生産性を上げるの3つを対応策としています。

しかし、これを阻む大きな問題が1つ浮上しています。「長時間労働」です。

昔は寝る時間を惜しんで働き続けることがよしとされていましたが、労働生産性を上げるもっとも基本的な対策は、質のいい睡眠をとること。

しかし、現実は長時間労働が睡眠不足を招き、睡眠不足がさらに生産性の低下を招くという、負のスパイラルが起きていることは容易に想像できます。

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実は、日本では40代の子育て世代の女性がもっとも睡眠時間が短いという調査結果があります。すなわち、世界でもっとも睡眠時間が取れず、疲れ切っている層といってもいいでしょう。パートナーはおそらく長時間労働者です。

彼女たちは家事や育児を担いながら働き、誰よりも遅く寝て、一番早く起きて、がむしゃらに働くパートナーたちの食事の支度をしているはずです。この状態でさらに女性の活躍が叫ばれているという現実があります。

質のいい睡眠が確保できないと、労働生産性の向上は見込めません。国家の発展のためにも、睡眠改善は真っ先に取り組まざるをえないテーマといえるでしょう。

「健康経営」のためのアプローチ

一口にスリープテックといっても、企業と個人では異なります。

企業では、「健康経営」のために専門企業の睡眠研修を導入したり、睡眠改善ソリューションにより社員の睡眠を改善し、パフォーマンスの向上を狙う取り組みが主流です。

医療機器メーカーが企業向けの睡眠支援サービスを行うケースも増えており、ソリューションの中にビッグデータやAI、睡眠トラッキング(追跡、分析)デバイス、アプリなどが含まれます。

帝人は呼吸をコントロールして入眠をサポートするウェアラブルデバイス「ツーブリーズ(2breathe)」を用いて、従業員の睡眠の質を測るサービス「Sleep Styles 睡眠力向上プログラム」を開始しました。

日立製作所でも、高精度の加速度センサーを搭載した活動量計とスマートフォンを使って、睡眠などの健康改善を支援するサービスを2018年4月から始めています。

「眠りは技術(スキル)」をかかげ、スリープテック事業を展開するニューロスペースでは、「睡眠改善プログラム」を提供。睡眠計測デバイスにより計測されたデータを独自のAIが解析し、アプリケーション上で可視化。利用者に最適な睡眠改善のアドバイスをしています。

また、ニューロスペースはKDDIと組んで、KDDI社員の睡眠をモニタリングしながら睡眠改善に取り組み、パフォーマンスの改善を狙う実証実験もスタートさせました。KDDIはホームIoTサービス「au HOME」も展開しており、この「au HOME」と連携することで、睡眠に最適な環境の実現を狙うトライアルも行うといいます。

KDDI株式会社プレスリリースより