学校・教育

日大アメフト問題・内田氏についに「常務理事解任要求」が出された

「非常勤講師クビきり問題」の責任で

<(アメフト部の)監督を辞任するだけで、人事部長及び人事担当常務理事を継続し強大な権限を握り続けるならば、事実経過の解明と責任の所在を明らかにして、再発防止の有効な措置をとることは困難です>

日大アメフト部の選手が危険極まりないタックルで関西学院大学の選手に大けがを負わせた問題で、内田正人監督は5月19日、監督辞任を表明した。一方で、内田氏は現在勤めている日本大学常務理事の職は辞さないと表明し、学内で波紋を呼んでいる。実は内田氏、アメフト部だけでなく、この職責でも大きな問題を抱えていることはあまり知られていない。

筆者は長らく、各地の大学で進められる「非常勤講師の大量雇い止め問題」を取材してきた。近年、大学改革の名のもとに首を切られる職員・講師が増加していることが社会問題となっているが、日本大学でも今年3月末、非常勤講師の「雇い止め」が実施され、少なくとも6つの学部で数十人に及ぶ講師が職を失った。

さらに近い将来には、日大は約3600人の非常勤講師の多くを雇い止めする見通しで、これに異を唱える首都圏大学非常勤講師組合は、去る2月14日、「手続きが違法だ」として日本大学を刑事告発した。

この雇い止め問題の日大側の責任者が、人事担当の常務理事である内田氏なのだ。

冒頭の一文は、5月21日に首都圏大学非常勤講師組合が公表した、日本大学への「緊急要求申入書」だ。この申入書では、非常勤講師の雇用の問題について、責任者である内田氏を解任、解職することを求めている。

日大で働く教員は、「内田氏が日大の常務理事になったころから、法律やルールを守らない強硬な人事・労務政策が始まった」と証言する。複数の教職員から実情を聞いた。

 

交渉の場には出て来ず

「多くの非常勤講師を雇い止めするという、講師の人生がかかった重大な問題であるにもかかわらず、内田氏は一度もこの問題に関する団体交渉の場に出てきたことがありません。内田さんは人事担当の理事。普通の大学なら、その立場にある人が団交に出席するのは当たり前でしょう」

こう話すのは、首都圏大学非常勤講師組合の副委員長で、日大ユニオン準備会の代表を務める志田慎さんだ。

日本大学では、三軒茶屋キャンパスに2016年に開学した危機管理学部とスポーツ科学部の英語非常勤講師15人が、最低でも4年間の勤務を依頼されていたにもかかわらず、「教育課程の再構築」という理由で、わずか2年の2018年3月末で雇い止めされた。

日大ユニオン準備会は本件に関して大学側と団体交渉を行なったが、実質的な責任者である内田正人氏が出席することはなかったという。大学側から出席した人事課長や弁護士は不勉強なのかほとんどユニオン側の質問に答えられないままで、組合の主張を持ち帰っても、ゼロ回答ばかりで交渉は平行線をたどったそうだ。

結局、責任者の内田氏の出席も説明も何もないまま、15人の雇い止めは強行された。

しかもこの4月に入って、雇い止めされたのは15人だけではないことがわかった。経済学部や文理学部など、あわせて6つの学部で数十人の非常勤講師が、合理的な理由もなく雇い止めされていたという。さらに日大は、授業コマ数の2割減と、専任教員が担当する授業の6割増を計画している。その結果、現在3600人以上いる非常勤講師が担当している授業がなくなり、非常勤講師の多くが雇い止めされる、とみられているのだ。

日大は、2016年度以降に新規採用した非常勤講師の契約更新を、上限4回とする就業規則を2017年10月に導入した。非常勤講師は1年契約で毎年更新しているので、たしかにこの就業規則だと、2016年以降に採用された講師全員は、2020年度以降、順次5年目の終了時に雇い止めされてしまう可能性がある。

首都圏大学非常勤講師組合は、日大が就業規則を導入する手続きに違法性があったとして、2018年2月に刑事告発している。(詳細は筆者の以前の記事を参照http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55121)志田さんによると、それでも内田氏が説明に立つことはなかったという。

「2013年に改正された労働契約法によって、同じ職場で5年以上働いた非正規労働者は、無期雇用に転換できる権利が発生するようになりました。にもかかわらず、法律を無視して非常勤講師3600人を雇い止めしようとしているのが日大なのです」(志田慎さん)

新メディア「現代新書」OPEN!