写真:加藤慶
格差・貧困 ライフ

AV女優もキャバ嬢も楽しかった私が伝えたかった「ピンク色の不幸」

鈴木大介×鈴木涼美特別対談【前編】

現代ビジネスが誇る「ダブル鈴木」、鈴木大介さん(『されど愛しきお妻様』著者)と、鈴木涼美さん(『オンナの値段』著者)のトークバトルが先日、開催されました。本日から2日連続でダイジェストをお届けします!

お二人の共通のテーマである「夜職女子」のことから、旬の「おじさんやらかし事件」まで。会話の広がりと反比例するように広がる二人の温度差をお楽しみください!

内容の可愛さに驚いた『されど愛しきお妻様』

涼美 大介さんのデビュー作から拝読しています。私がエリート層のお姉さんを取り上げているとすれば、大介さんが描くのは、底辺的なお姉さんたちの姿ですよね。私が目にする夜の世界の人たちとはかなり違った世界が見れて、いつも面白く読ませていただいていたんですけど。

それに比べて、『されど愛しきお妻様』は可愛いエピソードが多くってびっくりしました。「これが私の知っている大介さんなの?」って(笑)。

大介 今まで硬い本ばっかり硬い文体で書いてきたので、同じ著者かと思われそうですよね。以前はすごく理解の難しい女の子たちをテーマにしていたので、その子たちが叩かれないためにも硬く慎重に書かざるを得なかった。僕は彼女らを守れる距離にいないので。

でも、自身の妻のことになると、書ける範囲が広いんですよね。どんな批判が来ようと彼女と僕は一心同体だし、守れる距離にある。てことで、ようやく素の文体で書くことができたという。

 

涼美 私は、修士論文を基にした『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』という、AV女優が、どんな過程を経てプロ意識を持っていくのかを書いた本でデビューして、そのあと、『身体を売ったらサヨウナラ』という本で、私が夜職時代に経験したり考えたりした、論文からは描き溢れるような空気感について書きました。

その後に出してきた本でも、言語化されるまでもないような夜の世界の雰囲気や、女の子たちのもつ空気感のようなものは意識してきました。今回の『オンナの値段』も、お金というテーマを巡って、データや数字からは浮かび上がってこないテンションや気分を細かく書いていこうと思って書き始めたものです。

大介 僕が夜職の子たちをテーマに書いた本は、基本的に、支援職の人たち、子供とか女性の貧困支援に携わっている人に読んで頂くことが多かったようなんですけど、じつは今回の鈴木さんの本も、同様に支援者の人にこそ読んでほしいと思いました。

夜職の人たちの世界の中には日常があって青春があって、生活があるわけですよね。それをズブズブの内側にいた鈴木さんが書いてくれたのが面白かったです。内側にいる人たちって、言語化しようと基本的に思わないんですよね。その世界にいると、ほかの世界があんまり目に入らないし。

で、支援サイドの人がそんな彼女たちの世界を良く知らずに、「濁った世界から救ってあげる」っていう姿勢で行ってすれ違いや対立が起きるって話を結構聞いてきましたから。どうすればいいだろうって悩んでる支援者の方たちに中の空気感を知ってもらうという意味で、初めてこんなに夜職の中に流れる空気や経済感覚を言語化してくれた本だと思っているんです。

成功できればどれくらい稼げて、消費するにはどういうルートがあって、どのように循環されるのかっていう。そういう経済圏とその中に生きる人の世界観を知ることは、いわゆる自己責任論の払拭にも繋がる。必読です。

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