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ライフ 週刊現代

初恋の人と「40年越しの結婚」俳優・小倉一郎の奇跡みたいな話

連絡は、お互いのSNSで

ふとしたきっかけで、初恋の人と再会したら、あなたはどうするだろうか?そして、お互いがまだ惹かれ合っているとしたら……。二人が再び愛し合うのに時間はかからない。そんな夢のような話。

「いつか迎えに行くから」

記憶の中の「特別な相手」と再会し、結ばれる。誰もが一度は夢想する奇跡。そんな「夢」を現実にした人がいる――。

それは40年ぶりの再会だった。青春ドラマ『俺たちの朝』をはじめ、数多くの映画やドラマで名脇役として活躍する小倉一郎さん(66歳)は、'14年に初恋の人、まきさん(61歳)とSNSを通じて連絡を取り合うようになった。

幾度かのデートを経て、昨年、入籍。小倉さんは4度目、まきさんも2度目の結婚である。今年4月には結婚披露宴も行った二人が、馴れ初めから「新婚生活」まで赤裸々に語り合った。

小倉 付き合っていた当時、まきちゃんはまだ女子短大生だった。結局、別れてしまったけど、まきちゃんを捨ててしまったことには「申し訳ない」という気持ちがずっとあった。

別れた後、実家に行っておばさんに「いつかきっと迎えに行きますから」と言ったんだよ。

まき 時間はかなりかかったけど、ようやくそれを実行してくれたってことだよね。

小倉 その頃、僕は渋谷のアパートに住んでいた。その向かいのアパートにまきちゃんの友達が住んでいて、遊びに来ていたまきちゃんともベランダ越しに言葉を交わすようになり、恋仲になった。

僕のアパートには色々な人が出入りしていた。役者になる前のモデル時代の奥田瑛二とかね。部屋に遊びに来たまきちゃんが作ってくれた酒のつまみがすごくおいしくて。

まき みんな若いし、いつもお腹を空かしていたから、冷蔵庫の余り物で簡単なものを作っただけなのに、すごく喜んでくれたのよね。

小倉 あのとき、女子大生が何人か一緒にいたけど、まきちゃんが一番かわいかった。性格も控えめだったし。

まき 一郎ちゃんはすでにドラマや映画に出ていて忙しかったから、デートでどこかへ行くことなど、ほとんどなかったのよね。テレビ局やスタジオで収録の合間に会う程度。生田スタジオで撮影があったときに、よみうりランドに行ったことぐらいかしら。

小倉 それでもいつもニコニコしていた。それは今も変わらない。

 

まき 私は実家で暮らしていたけど、一郎ちゃんのアパートの合い鍵も持っていた。

留守のときにはお部屋の掃除もしていたから―でも、私とは別の女性が遊びに来ているな、というのがわかった。それで、一郎ちゃんの女癖の悪さが直るまで、「しばらくお別れしましょう」って、私から言ったのよ。

小倉 そうだっけ。たしかにあの頃は仕事も忙しかった。ドラマだけで同時に6本も出演していた時期もあったし。女性にもモテたからね(笑)。

まき お別れして以来、一切連絡は取らなかった。ドラマに出ているのを偶然テレビで見かけるくらい。

それがたまたま共通の友人で、女優の長谷直美さんが体調を崩され、一郎ちゃんが彼女に励ましのコメントを送っているのをフェイスブックで見つけて、「友達申請」をしたんです。それが今から4年前よね。

小倉 「私のことを覚えていますか?」というメッセージが来たんだよね。当時はまきちゃんもまだ前のご主人と結婚していたから名字が変わっていたけど、ひらがなの「まき」という名前を見てすぐにわかった。

まき そう。そうしたら、返事が来て、連絡を取り合うようになった。

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小倉 僕はまきちゃんが連絡をくれたとき、前妻とは別居していたから、すぐに会いたいと思った。だけど、結婚して幸せになっていると思ったから自重したんだよ。

まき 私は前夫と横浜で喫茶店をしていたんだけど、建物が改築されるのに伴って、店を畳むことになった。29年間、夫婦二人でやってきたから、お店がなくなると、この人とこれから一生過ごすことに疑問が出てきて、円満に離婚したんです。

小倉 僕と連絡を取り始めたことと、離婚って何か関係ある?

まき 大丈夫、それはまったくない(笑)。

小倉 それで安心した。それから僕も'15年に離婚したこともあって、時々会うようになった。

山下公園近くで食事をしたときに、まきちゃんのほうから「私を引き取ってくれない?」と言ってきたんだよね。僕は40年前に捨てちゃったという罪の意識があるから、「そうしようか」と思ったわけ。

まき いやいや、そんなことは絶対に言ってないって(笑)。一郎ちゃんが一人暮らしで大変なのを見かねて、私のほうから誘ってあげたのよ。

小倉 まきちゃんには介護が必要な母親と叔母さんがいるから、僕が転がり込む形になった。